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2002 年度 実績報告書

酸化触媒反応による難分解性有機塩素化合物の腐植化促進とそれによる毒性変化の評価

研究課題

研究課題/領域番号 14380283
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

福嶋 正巳  独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (40344113)

キーワード腐植物質 / ペンタクロロフェノール / 鉄(III)-ポルフィリン / 酸化 / 腐植化度 / 塩素化ダイオキシン / 無害化 / 毒性試験
研究概要

水溶性鉄(III)-ポルフィリン錯体により、中性条件下(pH6-7)でペンタクロロフェノール(PCP)の酸化が効率的に起こることを明らかにした。また、これに泥炭起源の腐植物質を添加すると、PCPの酸化と脱塩素化が促進する結果を得た。また、麦藁堆肥、泥炭、黒ボク土、褐色森林土、トロピカルピート等種々の起源の各土壌から14種類程度の腐植物質を分離・精製し、各腐植物質の化学組成や構造解析について元素組成分析(C, H, N, S,灰分)、官能基分析、分子量解析、分光パラメータ解析を行った。これら腐植物質の構造パラメータと腐植物質添加によるPCP分解率の促進の度合いとの相関性を調べたところ、腐植化度の低い泥炭や堆肥由来の腐植物質の添加がPCP分解の促進に対して有効であることを明らかにした。一方、PCPの分解生成物についても解析を行った。腐植物質を添加しない場合、PCPの酸化生成物としてo-テトラクロロキノン、ヒドロキシノナクロロジフェニルエーテル類(H-NCDEs)、オクタクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(OCDD)が生成した。しかし、腐植物質共存下では、PCPより有害と考えられるH-NCDEsやOCDDの生成を大幅に抑制することができた。この理由として、PCPの酸化中間体(ペンタクロロフェノキシラジカル等)の腐植物質へのラジカルカップリングを経た共有結合に起因することを、反応後の腐植物質分画の熱分解GC/MSや13C-NMRによる解析結果から明らかにした。さらに、腐植物質とPCP分解中間体との結合体形成がPCPの無害化に寄与するか否かを確かめるため、バイオアッセイ(Microtox試験)により毒性評価を行った。その結果、結合体によるバクテリアの活性低下は認められず、腐植物質とPCP分解中間体との結合体形成は、PCPの無害化に寄与することが証明できた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 福嶋正巳, 川崎幹夫, 澤田章, 市川廣保, 森本研吾, 辰巳憲司, 田中俊逸: "Facilitation of pentachlorophenol degradation by the addition of ascorbic acid to aqueous mixtures of tetrakis(sulfonatophenyl)porphyrin and iron(II)"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. 187. 201-213 (2002)

  • [文献書誌] 福嶋正巳, 市川廣保, 川崎幹生, 澤田章, 森本研吾, 辰巳憲司: "Effects of humic substances on the pattern of oxidation products of pentachlorophenol induced by a biomimetic catalytic system using tetra(p-sulfophenyl)porphineiron(III) and KHSO_5"Environmental Science & Technology. 37. 386-394 (2003)

  • [文献書誌] 福嶋正巳, 澤田章, 川崎幹生, 市川廣保, 森本研吾, 辰巳憲司, 青山正和: "Influence of humic substances on the removal of pentachlorophenol by a biomimetic catalytic system with a water-soluble iron(III)-porphyrin complex"Environmental Science & Technology. 37. 1031-1036 (2003)

  • [文献書誌] 寺島元基, 田中俊逸, 福嶋正巳: "Distribution behaviors of pyrene onto adsorbed humic acids on the surface of kaolin"Journal of Environmental Quality. 32. 591-598 (2003)

  • [文献書誌] 福嶋正巳, 澤田章, 川崎幹生, 辰巳憲司: "Removal of pentachlorophenol from contaminated soil by iron(III)-porphyrin complexes and potassium monopersulfate"Toxicological and Environmental Chemistry. (印刷中).

  • [文献書誌] 福嶋 正巳(共著): "サイトアセスメント-実務と法規(III.1.3土壌の構成成分)"吉澤正 監修、社団法人産業環境管理協会編、丸善. 469 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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