研究課題/領域番号 |
14380291
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 高史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20222226)
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研究分担者 |
久枝 良雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
島田 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80095611)
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キーワード | ミオグロビン / 酸素親和性 / 一酸化炭素親和性 / タンパク質機能化 / タンパク質再構成 / 酸素錯体 / 酸素センサー / 自動酸化 |
研究概要 |
ミオグロビンはプロトポルフィリンIX鉄錯体を補欠分子族として有し、酸素分子を安定に保持する機能を有している。この機能をより優れたものにするため、本年度はミオグロビン中のプロトヘムを、非天然のヘムである、ポルフィセン鉄錯体に置換し、再構成タンパク質を構築して、その酸素保持機能の評価を行った。その結果、この再構成タンパク質は天然タンパク質よりも酸、熱に対して安定であること、タンパク質中でのポルフィセン鉄錯体と軸配位子のヒスチジンとの配位結合が天然のものよりもかなり強いこと、鉄の3価から2価への還元電位が、大きく負側にシフトしていることなどが明らかとなった。さらに、酸素親和性は、天然のミオグロビンの1400倍増加しており、主に酸素分子の解離速度が抑えられていることに由来していることが判明した。また、2価から3価への好ましくない自動酸化も大幅に抑制されており、酸素錯体が極めて安定に存在していることが証明された。一方、一酸化炭素の親和性は、再構成タンパク質と天然タンパク質とでは、あまり大きな差がなかった。その結果、再構成タンパク質は一酸化炭素よりも10倍程度酸素を強く結合する極めて興味深く有用な結果が得られた。この現象は、タンパク質中の鉄ポルフィセンに結合した酸素分子の電子密度が増加し、遠位ヒスチジンとの水素結合が強くなったためと、考えられる。以上のことから、天然よりも優れた機能性ミオグロビンの構築が得られ、将来的には酸素センサーなどに応用可能と考えられる。
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