研究課題
基盤研究(B)
本研究者らは、炎症などにより血液の異常流入を認める組織中のヒアルロン(HA)には血清由来のインターα-トリプシンインヒビター(ITI)の長鎖サブユニットに相当する蛋白質(SHAPと名付けた)が共有結合していることを見つけ、SHAP-HA複合体が炎症シグナル伝達を可能にするHAの機能実体と推定して証明実験を試み、以下の結果を得た。複合体形成制御による炎症反応の調節を最終目標とする。1)関節リューマチ患者の滑液に特異に含まれるSHAP-HA複合体を電子顕微鏡、生化学レベルで解析し、HA分子量100万にSHAP約5分子が結合し、SHAPを介して高分子化していることを示した。2)遺伝子相同組換えによりITI合成不能によりSHAP-HA複合体形成能の欠損変異マウスでは、COC形成不全により卵巣からの炎症反応と考えられる排卵の顕著な効率低下、また体外受精、精子の卵子内人工導入(ICSI)などの実験から卵子透明帯の異常と思われる受精障害が分かった。3)炎症モデル実験として、HAまたはSHAP-HA複合体を基質にした培養皿への炎症細胞の接着と活性化を検討した。CD44陽性リンパ系細胞HUT78の複合体への接着は、HA単独に比べて約100倍の高頻度で起こり、SHAPがHA-CD44相互作用を増強する証拠を得た。4)SHAP-HA複合体形成反応を触媒する酵素因子活性をヒト血清や培養肝細胞培地中に簡便なELISA法を開発して見出した。財団法人化学及血清療法研究所から提供されたヒト血清画分から酵素因子を精製し、ペプチド解析で判明したTSG-6とは異なる候補分子のcDNAを得て、活性を確認中である。5)SHAP-HA複合体形成欠損マウスについて、II型コラーゲン誘導による関節炎発症、デキストラン硫酸投与による大腸炎発症のモデル実験を行い、野生型に比べ、炎症発症が軽減する傾向を見出した。一方、ConA誘導性肝炎については有意な差は見られなかった。マウス作製に用いたITI(炎症に関与するプロテーゼの阻害活性を持つ)合成不能の方法が影響している可能性がある。
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