研究概要 |
シナプス小胞膜のエンドサイトーシスにおいて、Dynamin IはAmphiphysin Iとともにクラスリン被覆ピット頚部にリング状に重合し、小胞形成に機能する。また、その足場としてPhosphatidylinositol 4,5-bisphosphate[PI(4,5)P_2]が重要である。今年度は以下のことを明らかにした。 1.脳抽出脂質を用いて作製した単層大型のリポソームを、ヌクレオチド存在下で脳細胞質と反応させると、多数の小胞(直径200nm以下)が形成され、その小胞形成を動的光散乱測定法により定性・定量化する実験系を確立した(Kinuta et al.,PNAS,2002;Kinuta and Takei, Cell Struc.Funct.,2002)。 2.Dynamin IとAmphiphysin Iはシナプス脱分極刺激により脱リン酸化され、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5/P35)によりリン酸化されることを明らかにした。また、これらのリン酸化-脱リン酸化によるエンドサイトーシス調節の機構を調べた結果、脱リン酸化状態ではリング状に共重合し、リン酸化状態ではリング状共重合がほとんどみられなかった。さらに、リポソームからの小胞形成は脱リン酸化状態でおこり、リン酸化状態では起こらないことから、脱リン酸化状態で小胞形成に機能することが示唆された(Tomizawa et al.,Neuron,2003,in press)。 3.シナプス膜のPI(4,5)P_2合成にかかわるPI(4)P 5-kinaseIγがADP-ribosylation factor 6によって直接活性化をうけ、被覆構成タンパク(clathrin/AP-2)の膜へのリクルートを促進することを明らかにした(Krauss, Kinuta et al., J.Cell.Biol., 2003 in press)。
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