研究課題/領域番号 |
14380308
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
上野 隆 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10053373)
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研究分担者 |
武野 大策 順天堂大学, 医学部, 助手 (00146771)
谷田 以誠 順天堂大学, 医学部, 講師 (30296868)
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キーワード | オートファジー / リソソーム / メラノソーム / ファゴソーム / タンパク活性化酵素 / タンパク結合酵素 / 膜形成 / オルガネラ |
研究概要 |
平成15年度に提案した2つの研究計画を中心に以下報告する。 1.メラノソームへのMAP-LC3とGABARAPの局在 メラニン形成ホルモンやIBMX(isobutylmethylxanthine)で刺激したB16-F1メラノーマを培養すると、突起を多く出した形態に変化し、オートファゴソームマーカーのLC3がメラノソームマーカーであるチロシナーゼやTRP-1と共局在しながら、細胞の表層近くに多く分布するのを観測した。LC3はApg7とApg3による2段階の酵素反応を受けてリン脂質と結合し、オートファゴソーム膜に動員されることが解っているので、同じ酵素システムの働きでLC3がメラノソーム膜に動員されるとすれば、APG反応系を阻止することによりメラノソーム形成にも影響が出るはずである。Apg7とApg3による反応を受けるためにはLC3のC末のグリシンが必要である。そこで、このグリシンを欠失させた変異LC3を過剰発現すれば、内在性のLC3がリン脂質結合型に移行する反応が抑制され、膜形成にも影響が出るはずである。このようなdominant-negative効果が期待される変異タンパクを強発現させ、メラノソーム形成への効果を調べたが、変異タンパクの発現量が内在性のLC3の量に近くはなるものの、メラノソーム形成に影響を及ぼすには至らなかった。 2.外分泌メラニン小胞の性質 ホルモン存在下で起こるメラニン形成促進には、単に細胞内のメラニン生成量が増えるだけでなく、その一部は細胞外にも放出され、培地にメラニンが貯留する効果をともなっている。培地に放出されたメラニンを含む小胞は、熟成した大きいメラノソーム顆粒は少なく、multivesicular body様の小胞で、エンドソームマーカーやLC3、GABARAPが多く含まれ、チロシナーゼに富んでいる。このことから、メラノソーム形成の中間体ともいうべき小胞がそのまま培地にエキソサイトーシスされると考えられる。
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