研究課題/領域番号 |
14380309
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研究機関 | (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 |
研究代表者 |
鈴木 紘一 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 所長 (80011948)
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研究分担者 |
反町 洋之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・応用生命科学専攻, 助教授 (10211327)
猪股 光司 財団法人東京都高齢者研究, 福祉財団・分子老化学系・生体膜機能研究グループ, 主任研究員 (30142649)
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キーワード | カルパイン / プロテアーゼ / カルシウム / 活性化機構 / ドメイン |
研究概要 |
カルパインのプロテアーゼドメイン、IIを(バキュロウイルス系で)発現・精製し、性質の解析と結晶化を行った。比較対照として胃特異的カルパインnCL-2の異性体でプロテアーゼドメインのみを持つII'を精製して用いた。IIおよびII'はプロテアーゼドメインのみから構成され、Ca2+非存在下でプロテアーゼ活性を持つと予想した。予想通りプロテアーゼ活性を保持していたが、活性は非常に弱く、活性発現にはCa2+の存在が必須で、50%活性に必要なCa2+濃度は約1mMであった。また、Ca2+オーバーレイ法でIIおよびII'に対しCa2+が結合することが確認された。カルパインのCa2+結合部位としてカルモジュリンドメインとC2ドメインが同定されているが、プロテアーゼドメイン中にも未知のCa2+結合部位があることが判明した。II、II'中にはCa2+結合部位を形成する特徴的なアミノ酸配列は見出せないので、この新規のCa2+結合部位をX線解析から同定するためIIとII'の結晶化を試みているが結晶化には成功していない。II、II'はpH7.5付近が至適pHで、特にII'は胃に存在するためかpH5付近でも十分活性を持っていた。活性はE64では阻害されたが、ロイペプチンやカルパスタチンでは阻害されず、基質特異性もカルパインとは異なっていた。これらの事実はIIのみでプロテアーゼ活性を持つが、その活性はカルパインに比べて著しく弱く、性質も異なる。また、プロテアーゼの活性発現にはIIに存在する新規のCa2+結合部位へのCa2+の結合が必須であることが証明された。最近DaviesらはIIの結晶解析を行い2個のCa結合部位を同定した。我々はまだ結晶解析までには至っていないが、我々の得た結果とよく一致している。彼らの結果をも踏まえ更なる解析を進めている。
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