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2002 年度 実績報告書

脳海馬が合成する性ホルモンは急性的に記憶学習を改善し、新規の神経成長因子である

研究課題

研究課題/領域番号 14380311
研究機関東京大学

研究代表者

川戸 佳  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50169736)

研究分担者 木本 哲也  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60292843)
キーワードニューロステロイド / 海馬 / 記憶・学習 / エストラジオール / 膜上エストロジェン受容体 / チトクロムP450 / 電気生理
研究概要

本年度は、「脳自身が合成する性ホルモンによる記憶学習の増進」という新しい機能について研究を進めた。1)ラット脳より急性的に調製した海馬スライスにおいて、各種の^3H-基質ステロイドを海馬スライスと5時間インキュベーションし、その代謝物をHPLC解析によって検討することによって、チトクロムP450scc→P45017α→P450arom系によるニューロステロイドの合成経路が働いて、エストラジオールを合成していることを確認した。2)電気生理測定で、エストラジオールは4週齢ラット海馬のCA1の長期増強を抑制した。3)この、エストラジオールの急性作用を媒介する神経シナプス膜上エストラジオール受容体の探索を進めた。古典的エストロゲン受容体ERαに対するC末端抗体MC-20にょるウェスタンブロットにおいて、子宮や卵巣では67-kDaの古典的ERαのみが検出されたが、海馬、大脳皮質より調製したシナプトソーム膜画分では、60-kDaのErα類似の新規蛋白質のみが検出された。視床下部のシナプトソーム膜画分では67-kDa古典的ERαと60-kDa新規蛋白質が同時に検出された。また、初代培養海馬神経細胞でも60-kDa蛋白質のみが検出された。4)一方、光学顕微鏡を用いた抗体組織染色で、P45017α,P450aromのみならずERα類似蛋白も、海馬の錐体神経細胞や顆粒神経細胞に分布することを確認した。グリアにはほとんど存在しなかった。5)更に、電子顕微鏡で金抗体染色法を用いることで、P45017α,P450arom, ERα類似蛋白が、海馬CA1錐体神経細胞のシナプスに局在することを、ついに発見した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Sibuya K: "Hippocampal cytochrome P45Os synthesize brain neurosteroids which are paracrine neuromodulators of synaptic signal transduction"Biochim Biophys Acta. 1619. 301-316 (2003)

  • [文献書誌] Takahashi T: "Corticosterone acutely prolonged N-methyl-D-aspartate receptor-mediated Ca^<2+> elevation in cultured rat hippocampal neurons"J Neurochem. 83. 1441-1451 (2002)

  • [文献書誌] Kawato S: "Histological and metabolism analysis of P450 expression in the brain"Methods Enzymol. 357. 241-249 (2002)

  • [文献書誌] Tanaka N: "Pregnenolone sulfate acutely enhances NO production in the rat hippocampus : digital fluorescence study using NO reactive dye"Bioimages. 10. 1-8 (2002)

  • [文献書誌] 川戸 佳: "ニューロステロイドによる海馬神経伝達のモジュレーション"医学のあゆみ. 202. 1049-1052 (2002)

  • [文献書誌] 川戸 佳: "記憶学習機能の動的解析手法と求められる技術:脳ニューロステロイドを中心に"バイオサイエンスとインダストリー. 60. 404-407 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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