研究分担者 |
河野 能顕 独立行政法人理化学研究所, 研究技術開発室, 研究員 (70321750)
古瀬 宗則 独立行政法人理化学研究所, 研究技術開発室, 協力研究員 (50321807)
野尻 正樹 独立行政法人理化学研究所, 研究技術開発室, 基礎科学特別研究員 (20333346)
尾高 雅文 独立行政法人理化学研究所, バイオ工学研究室, 助教授 (20224248)
小林 達彦 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (70221976)
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研究概要 |
ニトリルに水を付加するニトリルヒドラターゼ(NHase)を材料とし,SPring-8のBL45XUにおいて,大角度回転結晶法(LOT)による4次元結晶構造解析を可能とした.これにより10分オーダーの時間分解能を達成することができた. NHaseの光活性化過程を単一の結晶を用いてLOTにより追跡した.光により鉄から一酸化窒素が解離するとともに新たな水分子が鉄に配位する過程,鉄の配位子場を構成しているシステインスルフェン酸(αCys114-SOH)の酸素原子の極近傍(2.5Å)に新たな水分子が出現する過程を見いだした.これらの水分子はNHaseの水付加反応機構に直接関与するものと予想された.不活性型NHaseの反応キャビティに基質および基質類似体を導入し,それぞれ光活性化後の反応過程を追跡した. NHaseの反応キャビティにはαGln90が存在し,反応中心を取り巻く水分子と水素結合している.αGln90をGluまたはAsnに置換した突然変異体を作製して酵素活性を検定したところ,αGln90Gluは野生型の1/4程度に,αGln92Asnでは1/50以下に低下していた.これらの結果からαGln90の側鎖は,NHaseの水付加活性に直接関与していることが示唆された. NHaseと機能の類似したイソニトリルヒドラターゼ(INH)の遺伝子を同定し,大腸菌での高発現系構築に成功した.部位特異的変異法によりINHの活性アミノ酸残基の同定を試み,Cys101が触媒機構上必須であり,またThr102も重要な役割を果たすことを明らかにした.
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