研究課題/領域番号 |
14380376
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉橋 隆 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (90225251)
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研究分担者 |
竹内 裕子 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助手 (10324823)
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キーワード | 臭細胞 / 電気生理学 / 神経 / 脳 / イオンチャネル / 匂い / signal transduction / 順応 |
研究概要 |
嗅細胞での順応ではCaフィードバックが最終段に当たるイオンチャネルをターゲットとしている。一般に、生体、機械を問わずネガティブフィードバックはシステムの上流部位に位置させるのが妥当である。というのは初段にフィードバックをかけるとそれ以降のシークエンスでのエネルギーロスを最小限に押さえられるからである。実際、嗅細胞でも、順応状態になり、細胞感度が低下している場合にもリセプタ、G蛋白、シクラーゼが働いてGTPやATPを消費し続けているのはエネルギー的にはずいぶんな無駄をしていることにもなろう。しかし、初段に当たる匂い受容蛋白質は1000種類もの多様性を示すことを思い出していただきたい。この部位にフィードバックを与えるとなると、その攻撃サイトを常に恒常的に保持せねばならず、むしろ多様性を求めてきた嗅覚システムにとって不利になる。生物学的戦略としてチャネルレベルへのフィードバックの選択を発展させたのかもしれない。以上の分子機構にのっとり考察を進めると、嗅細胞レベルでの順応というのは、リセプター蛋白などに非依存的であることが予想される。我々は、物質的、あるいはpreference的(良い匂い、悪い匂い)に全く異なる匂い種10種類をもちいて、嗅覚細胞での順応過程を検討した。その結果、いかなる匂いに対しても、嗅覚細胞は同様の時間経過で順応を起こし、また、相互に干渉しあう相互順応を認めた。これらの実験結果から、嗅覚細胞のレベルでは、応答特性は匂い分子に依存してヘテロジニアスであるが、いったん応答してしまえば、結合した匂い種には全く依存せず、いかなる匂いに対しても、同じように順応することが新たに確認された。
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