研究課題/領域番号 |
14380378
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
小泉 周 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10296551)
三好 俊一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10296577)
金田 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (30214480)
平沢 統 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00338021)
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キーワード | 受容野 / 側抑制 / 水平細胞 / 錐体子細胞 / カルシウム電流 / pH / イモリ / 網膜 |
研究概要 |
感覚神経系において、受容野周辺からの側抑制は受けた刺激の輪郭を際立たせ、像や物体の形の認識の上で極めて重要なメカニズムである。受容野周辺部の形成に水平細胞やアマクリン細胞が関与しているという仮説は1970年代から多くの研究者が認めるところであった、しかし、そのメカニズムについて明らかでない点が多い。 水平細胞の信号は視細胞へフィードバックして視細胞の受容野周辺部の形成に関与していることが多くの研究者の合意があるが、その機構に関してはさまざまな可能性が考えられ、GABAを伝達物質とするフィードバック機構、水平細胞の応答電流による電界効果などが提唱されている。特に近年、電界効果の機構が注目を集めているが、未だ確立した見解であるとはいえない。本研究では陥入型シナプスにおける電界効果によってカルシウム電流が影響を受け、伝達物質の放出が修飾される可能性を検討した。暗視野、直視下にイモリ網膜スライス標本の錐体視細胞からホールセル記録を行ってカルシウム電流の電圧依存性を検討した。受容野周辺部へ光照射を行った場合にはカルシウム電流の増強が見られた。しかし、電界効果による予測に反して、カルシウム電流は単に電位依存性がマイナス側にシフトしただけではなく、-40mVから-10mVの範囲にわたって振幅が増大した。また、このような周辺効果は使用する緩衝液を重炭酸バッファーから緩衝能力の高い10mM HEPESバッファーに換えると見られなくなった。これらの結果からイモリ網膜の錐体視細胞に見られる周辺照射によるカルシウム電流の増強は電界効果ではなく、陥入型シナプスのシナプス間隙におけるpHの変化によるものではないかと考えた。それを証明すべき実験を続けている。
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