研究課題/領域番号 |
14380382
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
|
研究分担者 |
土屋 英明 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助手 (10378440)
高田 達之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教授 (90206756)
木村 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00110560)
桑名 貴 国立環境研究所, 環境研究基盤技術ラボラトリー, 室長 (30145297)
山海 直 医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 主任研究官 (80300937)
|
キーワード | EG細胞(embryonic germ cell) / 始原生殖細胞 / カニクイザル / サルES細胞 |
研究概要 |
昨年までの研究により、サルにおけるprimordial germ cell(PGC)採取には約30日胚が適しているということを明らかにした。しかし生殖腺由来細胞の培養は継続できるもののEG細胞株の樹立には至らなかった。そこで本年度も、引き続きPGC分離方法、培養条件、および使用するfeeder細胞を変えてEG細胞株の樹立を試みた。まずこれまでの研究結果からマウスやヒトPGCの場合とは異なり、細胞分離時のトリプシ消化がサルの場合にはPGCにダメージを及ぼしていることが明らかとなった。そこで細胞分離時のトリプシン消化を止め、生殖腺を機械的に細断する培養方法に変更した。またマウス胎仔から調整した線維芽細胞に比べ、サル由来線維芽細胞をfeeder細胞に使用した場合の方が細胞の培養状態が良い傾向が認められた。そこでサル由来線維芽細胞をfeeder細胞に使用し、LIF(leukemia inhibitory factor) bFGF,に加え、今年度は新たにSCF(stem cell factor),フォルスコリンを使用して培養を行った。PGC細胞の存在をアルカリフォスファターゼ染色により行ったところ、本培養条件下でPGC細胞の生存は改善され、半年以上維持できることがわかったが、現時点においてEG細胞株の樹立には至っていない。本研究の結果、サルにおけるPGC採取、その培養条件はほぼ確立できたが、EG細胞株の樹立に関してはマウスやヒトPGCの場合とは異なる条件が必要である可能性が強く示唆された。 同時に、最近報告された生殖幹細胞(germline stem(GS)細胞)の樹立も試みたが、細胞の維持は可能ではあるが樹立には至らなかった。本研究の結果からサルにおける生殖細胞の樹立はマウスやヒトの場合とは異なる条件が必要である可能性が強く示唆された。
|