ラット骨髄細胞由来の細胞を培養することにより得られる多能性幹細胞(MAPC)の作製 我々がすでに作製したGFPを全身の組織から発現させているラットの骨髄細胞を準備し、それの継代培養を繰り返して幹細胞の樹立を試みた。これまでに300日を超える培養でダブリングタイムがX日のMAPC様細胞株を複数樹立することに成功した。これらは正常カリオタイプをもち、未分化細胞に特異的な遺伝子が発現していることが確認された。また分化を引き起こす系で検討したところ、脂肪細胞などへの分化を確認することができた。 マウスのブラストシストへの注入とそのキメリズムの観察 マウスのブラストシストに緑色蛍光ラット由来のMAPC様細胞を移植し、そのキメラ形成能を検討したが、これまでのところラットのMAPC様細胞はマウスのブラストシスト期の細胞とキメラ状の構造を形成せず、ブラスト期以降は急速にその蛍光を失うことが観察された。ブラストシストへの打ち込みに際してあらかじめ何らかのコンディショニングが必要であることが必要ではないかと結論された。 臓器置換を可能にするCre活性化ジフテリアトキシントランスジェニックマウスの作製 ジフテリアトキシンをloxP配列で挟み不活化した状態でトランスジェニックマウスを作製した。このマウスに生殖細胞で特異的に発現するプロモーターにCreリコンビナーゼを結合したトランスジェニックマウスを交配させた。その結果、予想通り生殖細胞を欠損したマウスを作製することができた。
|