研究課題/領域番号 |
14380391
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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研究分担者 |
山崎 裕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00322678)
斯波 真理子 国立循環器病センター研究所, 室長 (70271575)
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キーワード | 高分子ミセル / 遺伝子デリバリー / ブロック共重合体 / ナノカプセル / DNA / 生体適合性 / ポリエチレングリコール |
研究概要 |
本研究は、内核に遺伝子DNAを保持し、かつ表層部に標的細胞による認識と取り込みを促進させるためのパイロット分子を結合させた生体適合型高分子ナノカプセル(高分子ミセル)を創製し、その新規遺伝子ベクターとしての有用性を明らかにすることを目的として検討を行う。本年度は、以下の2項目を中心に検討した。 1)パイロット分子装着の為の分子設計として、α-末端に各種パイロット分子を結合可能なブロック共重合体の新規合成ルートの確立を行った。具体的にはパイロット分子導入の為の反応性基として従来のアセタール基に加え、脱保護に伴う二量化反応が誘起されないベンジルアセタール基を片末端に導入したPEGを合成し、アセタール基およびベンジルアセタール基とポリアミノ酸側鎖の選択的脱保護を実現する為に、温和なアルカリ条件で脱理可能な保護基を有するアミノ酸誘導体(例:ε-トリフルオロアセチルL-リシン酸無水物)をPEG末端から重合させた。これにより、従来法では困難であったブロック共重合体の末端に、ラクトース、ペプチドを導入することに成功した。 2)これらブロック共重合体とレポーター遺伝子を組み込んだプラスミドDNAとを混和することにより高分子ミセル型遺伝子ベクターを調製した。ラクトースを導入した遺伝子ベクターでは、ラットより調製した初代培養肝実質細胞に対して、高い遺伝子発現効率を示すことを確認した。血管内皮細胞や平滑筋細胞などに発現が認められるインテグリンに対して特異的結合能を有するRGDペプチドを表層に導入した遺伝子ベクターを、ウサギ頸動脈バルーン擦過モデルの内膜肥厚を形成している動脈壁に対して局所投与を行ったところ、従来のシステムと比較して10倍以上高い遺伝子導入効率が実現された。これにより高分子ミセル表層に導入したパイロット分子が生体内においても有効に機能することを確認した。
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