研究概要 |
1.2台の高速ビデオカメラと三次元位置計測器による広範囲心室表面光学計測合成アルゴリズムの実装 2台の高速度カメラによる心筋細胞膜活動電位マッピング結果を合成する既研究では,データ転送速度がデータ処理の律速段階となっていた。本予算で購入の高速度ビデオカメラを使用することによって,データ処理速度を実用的段階までに早め迅速に画像合成を行うことが可能となった。 2.スパイラルリエントリーにおける興奮波面の三次元計測手法の開発 従来の光学マッピングシステムでは心室表面上の興奮波をカメラの撮像面上に2次元投影して計測していたため、画像のゆがみが不可避であり,局所の興奮伝播速度および興奮波面前後面の曲率半径などを定量的に正確に評価することは困難であった。そこで、心臓標本の三次元形状を非接触型の三次元形状計測装置によりあらかじめ計測し、コンピュータ内に20000個のvoxelより成る心室表面形状のvoxelモデルを構築した。カメラ・三次元形状計測装置それぞれで得たデータの座標系の変換行列を求め、voxel表示色を当該箇所の活動電位変化に対応した静止時(-90mV)の青から興奮時(20mV)の赤色表示し,時間的に連続に変化させることで、三次元マッピングに時間方向1次元を加えた心筋細胞膜活動電位の3+1次元マッピングを実現した。Figure of 8リエントリの興奮パターンが3次元モデル上に再現された。 興奮パターンが三次元voxelモデル上に正確にレジストレーションされたことで、撮影方向に依存せず正確な三次元の局所興奮伝播速度や興奮波面曲率などを評価可能となった。例えば,左室前面からの光学マッピングにおいて、左室側壁部の微小部分はでは,3次元形状上で算出された興奮波面伝播速度は1.13 [m/s]と、従来の2Dマッピング方法で算出された速度に比して37.3%速いことが示された。
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