研究分担者 |
小川 充洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30322085)
大塚 公雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00211798)
戸川 達男 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40013859)
中村 真人 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90301803)
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研究概要 |
粘弾性体に対して非常に大きな加速度で力を加えると見かけ上剛体のように扱うことができる.本研究はインパルス状の急激な変位を与える振動子に穿刺針を取り付け,粘弾性体の皮膚や血管組織に対して相対的に非常に大きな加速度で針先を接触させることで組織繊維の切断を試みるものである.これにより針の押し刺しによる組織変形のないスムーズな穿刺が期待される.本年度は要求備品の多自由度振動穿刺マニピュレータの先端に27G(φ0.4mm)の針を取り付け,ファンクションジェネレータから出力された振動波形を高速バイポーラ電源により増幅してピエゾアクチュエータに与えることで様々な振動波形を与えながら穿刺を行える実験系を構築した.振動波形の振幅と周波数は使用するピエゾアクチュエータの静電容量と共振周波数に依存するが本装置では2kHzの周波数で20μm以上の振幅が得られた.また針の穿刺動作は装置付属のマニュアルコントローラの他,ソフトウェアにより角度や速度を柔軟に設定できるような制御系を開発した.これらの実験系を用いて皮膚血管を模した弾性ゴムに対して振動穿刺実験を行い,与えた振動波形通りに針先が振動することをレーザー変位計により確認した.また予備実験として正弦波,方形波(Duty50%),ノコギリ波をそれぞれ振動波形として周波数を変化させたときの穿刺力を計測した.いずれの形状の振動波形においても穿刺力の減少が認められたが,ノコギリ波の時に減少値が大きかった.周波数による顕著な違いは認められなかったが,周波数10kHz以下の時に穿刺力,穿刺時間共に減少し,再現性が得られた.
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