研究分担者 |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
大塚 公雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00211798)
小川 充洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30322085)
中村 真人 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90301803)
戸川 達男 早稲田大学, 大学院・人間科学研究科, 特任教授 (40013859)
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研究概要 |
採血や注射の際に素早く穿刺を行うと痛みの感じ方が少ない.これは組織に対する針の相対速度が高速であると粘弾性に依存する組織の変形が抑制されて神経自由末端の刺激・破壊が減少するためと考えられる.本研究では針にインパルス状の急変位を与える振動によって組織変形や神経破壊を最小限に抑制する穿刺方法の有効性の検討,評価を行うことを目的としている. ヒト皮膚組織に弾性特性が近いと言われているラテックスゴムに対して昨年度に引き続き行った採血針のインパルス穿刺実験結果から,インパルス振動の効果は主に針管壁と穿刺対象間の摩擦力を低下させることが再確認された.またラテックスゴムに張力を与えると小さな引き伸ばし量(10%)でも穿刺力が約40%程度低下し,穿刺に必要な時間も半減した.穿刺時間の短縮は穿刺点の移動量の減少を意味し,血管の逃げや潰れの回避に有効であるといえる. 穿刺力波形から推定したラテックスゴムの弾性変形量は僅かな張力(10%引き延ばし量)でゼロとなり,見かけ上の弾性変形が抑制されることが確認された.またこれ以上の張力を与えた場合は弾性変形量が負値となり,ラテックスゴムが引っ張りにより破断していることが示唆された.これは臨床での採血の場合には組織の穿刺傷を拡大することになるので,張力を与える場合に見かけ上の弾性変形量が負にならないような張力制御が望まれると考えられた.
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