研究課題/領域番号 |
14380398
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (30233729)
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研究分担者 |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00151803)
早川 知克 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (00293746)
野上 正行 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (90198573)
畠 賢一郎 名古屋大学, 医学部・再生医療センター, 助教授 (80293710)
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キーワード | 組織工学 / 骨類似アパタイト / 炭酸カルシウム / ポリ乳酸 / リン酸カルシウム / 擬似体液 / スキャホールド / ハイブリッド |
研究概要 |
本研究は、将来的に実現すべき術式の容易な培養骨(加工性や取扱易さ、インジェクタブルなど)のコンセプトに基づき、これに適したマトリックスを独自開発することを目的としたものである。注入時に破壊しない強度の高いもので、高い生体吸収性をもち、さらに、骨細胞への分化能促進も期待できる新型製剤を目指した。本年度は種々の形態制御について検討した。 昨年度の研究で明らかにした、「バテライト/ポリ乳酸複合材料表面に骨類似アパタイトが高速で生成する」という結果を利用して、三次元培養可能な多孔体、および、流動性を考えた球状体を作製する方法を検討した。 三次元培養可能な多孔体としては、気孔率75%、かっ100μm程度の連通孔を多数もつものを作製できた。多孔質化の手法として、炭酸カルシウムとポリ乳酸の複合体とスクロースとを混合してホットプレス成形した後、これを擬似体液に浸漬して、水溶性固体の溶出による多孔質化と同時にポリ乳酸骨格上での骨類似アパタイトを生成させることに成功した。マウス破骨細胞を用いた評価では、明瞭な吸収窩がみられ、生体吸収性が確認された。 球状体の作製法として、薄いエチレングリコール水溶性高分子溶液中に、バテライト/ポリ乳酸混合物の塩化メチレン溶液を滴下して球体を作製するW/Oエマルジョン法の応用により、球状化できることを見いだした。得られた球体は約1mmの直径で、かつ、内部が中空化しており、これを化学処理により開口(外部との連絡通路を確保)することもできた。これは溶解性の高い炭酸カルシウムナノ粒子を用いたことで達成された。ヒト骨芽細胞の接着性、増殖性、アルカリフォスファターゼ活性とも良好な値が得られ、スキャホールドとして有望である。現在、細胞を組み込んだ材料を作製して骨誘導性評価を開始したところである。
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