研究概要 |
本研究の目的は,歯科インプラントの機能的評価を客観的に行うために,インプラントの機能性つまりインプラントの動揺特性に着目し,チェアサイドで使用可能なインプラント評価システムを開発し,さらにインプラントの機能評価指数を確立することである。すなわち顎骨への植立直後からインプラントの動揺を長期にわたって測定でき,施術の良否や予後の評価,天然歯との連結の影響などを,機能的な面から診査することができるシステムの新規開発を目的とした。 研究期間は3年で,初年度は歯科インプラントの動揺を模擬した標準模型を作製して臨床使用に適した測定条件を検討し,インプラントの機能評価システムIAD101および測定プローブIAP1を設計,試作した。第2年目は,試作装置とプローブを臨床的に評価し,かつ機能評価指数を検討し,また測定プローブの医療的安全性やヒューマンインタフェースについても熟考し,IAD201およびIAP2を製作した。さらに,インプラントの選択基準としての長さや直径に関するインプラント形状についても検討を加えた。最終年度は,試作された装置やプローブを再評価し,また測定周波数の上限を5000Hzまでとし,より正確なインプラントの機能評価指数を得られるように変更するとともに,プローブ先端を小型化して,臨床上の操作性を向上させることができるように改良して,IAD301およびIAP3を製作し,臨床的な総合的な評価を行って開発を完了した。本システムの開発は,市販されているPeriotest^<TM>とOsstell^<TM>の種々の欠点を補い,これまで形態的なX線診査および歯科医の触診に頼っていたインプラントの客観的な植立評価を可能とし,予後の評価にも極めて有効であろう。またインプラント施術の際のインプラントの選択,すなわちインプラントサイズの選択においても,本システムが有効であることを示した。
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