超音波照射効果による培養細胞情報伝達機能活性と、細胞分化・再生に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14380408
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 香川医科大学
• 研究代表者: 千田 彰一 香川医科大学, 医学部附属病院, 教授 (30145049)
• 研究分担者: 阪本 晴彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60106549) ; 福永 惠 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40283775) ; 水重 克文 香川医科大学, 医学部, 助教授 (90166009) ; 古幡 博 東京慈恵会医科大学, 総合科学研究センター, 教授 (70056985) ; 舛形 尚 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (70263910)
• キーワード: 超音波 / 超音波照射 / 細胞機能 / 細胞活性 / 微小気泡

研究概要

本研究課題においては、細胞に波動力学的負荷及び流体力学的負荷を加えることによって生じる、細胞の活性化あるいは障害が起こることの差違を音響組織学的指標で検討し、併せて分子レベルでの変化との関連を研究せんとする。そのため、衝撃波として球面波状のパルス超音波を発生させる装置を試作し、発信周波数、打ち出し励起パルス幅、パルス繰り返し周波数など条件設定を変えながら、種々培養細胞を対象として超音波を照射し、細胞活性の変化を細胞情報伝達系の機能を評価しながら観察することから、活性を高めるに最適な条件の探索を行うことを目的とする。
低周波超音波(2〜40MHz)は臨床診断用に平生用いられており、その安全性はほぼ確立されている。超低周波超音波(200〜500kHz)では、温熱効果のほか、血管内皮機能に良い影響を及ぼす可能性があることは知られているが、この送信条件を精密に制御しかつ対象領域の波動現象をも厳密に計測しつつ超音波送受信を行い得る装置は既製にない。すなわち試作装置には、共振超音波が種々レベル広帯域の周波数をとれること、送信方法が連続波からパルス繰り返し周波数可変の自在型であること、細胞への影響が定量的に評価できるよう超音波出力が広範囲に可変であること、将来の臨床応用を想定して一定深度にフォーカスできること、およびSPTPあるいはSATAに関わる超音波強度の測定指標が簡便に得られること、など要求される項目が多い。
そこで、初年度はこれらの実験装置の試作にあたり共振周波数、パルス幅、送信パワーなどの最新情報を収集するとともに、受注可能制作者と打ち合わせを重ねた。
一方、代表者が従来受けた科学研究費の助成に基づき試作した超音波生物組織性状計測システムで、培養血管内皮細胞/血管平滑筋細胞および骨芽細胞の微細構造を検討できるよう、倒立型リサーチ顕微鏡およびCCDカラーテレビカメラシステムを購入して、超音波による細胞の微小変化を観察可能ならしめた。

研究成果

• [文献書誌] Mizushige K, Senda S, et al.: "Ultrasonic tissue characterization can predict b-blocker efficacy in dilated cardiomyopathy"Ultrasound Med. Biol.. 27・8. 1079-1086 (2001)
• [文献書誌] Masugata H, Mizushige K, Senda S, et al.: "Comparison of left ventricular diastolic filling with myocyte bulk modulus using Doppler echocardiography and acoustic microscopy in pressureoverload left ventricular hypertrophy and cardiac amyloidosis"Clin Cardiol.. 23・2. 115-122 (2000)
• [文献書誌] Lu X, Senda S, Mizushige K, et al.: "Evaluation of progression in nonrheumatic aortic valvular stenosis by scanning acoustic microscopy"Ultrasound Med. Biol.. 26・4. 563-569 (2000)
• [文献書誌] Masugata H, Mizushige K, Senda S, et al.: "Physical properties of the mitral valve tissue assessed by tissue sound speed in cardiac amyloidosis : relationship to the severerity of mitral regurgitation"Ultrasound Med. Biol.. 26・7. 1191-1198 (2000)
• [文献書誌] Mizushige K, Ohyama H, Kitadai M, Senda S, et al.: "Ulceration and Stenosis of Internal Carotid Artery Imaged by Convergent Color Doppler"Circulalion. 100・7. 1761-e82-1761-e83 (1999)
• [文献書誌] Masugata H, Mizushige K, Senda S, et al.: "Tissue characterization of myocardial cells by use of high-frequency acoustic microscopy : differential myocyte sound speed and its transmural variation in normal, pressure-overload hypertrophic, and amyloid myocardium"Angiology. 50・10. 837-845 (1999)