研究課題/領域番号 |
14380409
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
川上 浩良 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (10221897)
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研究分担者 |
長岡 昭二 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (30254147)
窪田 倭 聖マリアンナ医科大学, 第一外科, 教授 (20075500)
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キーワード | 金属ポルフィリン / 人工SOD / ナノキャリヤ / 虚血再還流 / フリーラジカル / 抗がん剤 / 抗酸化剤 |
研究概要 |
好気性生物の細胞は様々な細胞内小器官(オルガネラ)より構成されているが、その中でミトコンドリアはATP産生や電子伝達を行うといった生理機能の面において特に重要なオルガネラとされている。またミトコンドリアは細胞内酸素の90%以上を消費している一方、常に酸素代謝により常に活性酸素種を産出している。従って、ミトコンドリアに集積でき、そこで発生するO_<2^->を選択的に消去することができる抗酸化剤を創製できれば、生体内でより効果的な抗酸化効果が期待できる。 本年度はではミトコンドリアへの高い指向性を獲得するため、ポリフィリン錯体へミトコンドリア移行シグナル(MLS)を修飾したミトコンドリアへの局在化を目指したポルフィリン錯体の合成を試みた。その結果、その合成に成功し、細胞内フリーラジカル消去を示す新規抗酸化剤の可能性を明らかにした。 また、我々はこれまでO_<2^->消去酵素SODモデル化合物のカチオン性マンガンポルフィリン錯体(Mn-porphyrin)を用い、各種疾患系の制御を目指してきた。しかしながら、Mn-porphyrinを用いてin vivo評価実験を行った結果、Mn-porphyrinに由来する次の二つの問題点が明らかとなった。(1)Mn-porphyrinによるO_<2^->不均化反応の際に生成するH_2O_2に由来する生体毒、(2)Mn-porphyrinの低分子に由来する短い血中滞留時間である。 本年度は、H_2O_2消去活性とPEG鎖による長い血中滞留時間を有するPEG-catalaseをキャリヤとし、これにMn-porphyrin (MnMPy_4P)を結合させた新規キャリヤを合成した。得られたMn-porphyrin含有PEG-catalaseキャリヤの生体内抗酸化機能を検討した結果、Catalaseキャリヤによるin vitro, in vivoROS由来疾患への極めて有効な結果を導きだされ、その実用化も視野に入れた検討を今後進めたい。
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