研究概要 |
本研究の目的は、急性腎不全時の腎皮質における微小循環を糸球体をも含めた毛細管レベルで可視化し、血流動態の急性変化および細動脈の血管径および血流速度を測定し、腎循環調節メカニズム破綻を微小循環レベルで解析することである。 平成14年度の(1)〜(3)の計画は、当初の予定通り全うすることが出来た。 (1)高解像度のペンシルレンズ型のCCD生体顕微鏡システムの改良顕微鏡システムの光学系の基本はGRIN.(Gradient-index)レンズとし、通常型の微小レンズを組み合わせ,以前の800倍よりさらに高い1000倍の倍率を実現した。これにより、血球の描出が鮮明になり、速度評価が可能となった。この計測・解析のため、高倍率改良型のCCDカメラ,画像収集解析システムを購入した。 顕微鏡システムの光学系の基本はGRIN(Gradient-index)レンズとし、通常型の微小レンズを組み合わせ,以前の800倍よりさらに高い1000倍の倍率を実現した。これにより、血球の描出が鮮明になり、速度評価が可能となった。この計測・解析のため、高倍率改良型のCCDカメラ、画像収集解析システムを購入した。 (2)システムの測定精度の評価 既知のマイクロスケール(2μm、5μm)とUSAFターゲット1957を計測し、空間分解能を評価した。像の歪みは、正方形のグリッドである血算板を観察して検討したところ、実用上問題がないことが分かった。被写界深度は約50μmであった。 (3)in vivo実験および安全性の評価 ラット腎糸球体および輸入・輸出細動脈のイメージングを行い,安定性を検討したところ開腹後5時間に及ぶ実験を行なっても生理的な影響はほとんど認められなかった。 このシステムは、その高倍率性によって血管内を血流にのって流れる血球の動画を捉えて血流速度評価を可能にする画期的なものであることが確認された。さらに次年度の計画の予備実験を行ない、急性腎不全をエンドトキシンによって誘発することに成功し、その際の糸球体における血流速度を計測出来ることを確認した。この時、ラットは播種性血管内凝固を生じるので、血球が凝集に由来する血流速度の低下が観察された。この成果は、来る3月の日本循環器学会にて報告することが決定している。
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