研究課題/領域番号 |
14380419
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
藤里 俊哉 国立循環器病センター研究所, 再生医療部, 室長 (60270732)
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研究分担者 |
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 臓器移植部, 部長 (60155752)
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キーワード | 再生医療 / 脱細胞化 / スキャフォールド / 組織工学 / 細胞移植 |
研究概要 |
我が国では年間1万件以上の心臓弁置換術が施行されており、70%が機械弁、30%が異種生体弁である。しかし、機械弁では抗血栓性、異種生体弁では耐久性の問題が解決されていない。近年、自己肺動脈弁を大動脈弁位に、凍結保存同種弁を肺動脈弁位に移植するロス手術が有効な成績を上げている。自己肺動脈弁は抗原性を有さず、患者の成長に伴ってサイズが大きくなる成長性を有しているため、特に小児患者で有効である。しかし、我が国では同種弁の提供数が圧倒的に不足している。本研究では、同種あるいは異種組織からドナー由来細胞を除去したマトリックスをscaffoldとして利用し、患者の細胞を組み込むことで自己修復性や成長性を有した移植組織の創製を目指している。本年度は、昨年度までに開発した超高静水圧印加による脱細胞化処理法の安全性を検討するとともに、ミニブタ同種肺動脈弁同所性移植及び大動脈弁基部移植術によって有効性を評価した。クラウン系ミニブタの肺動脈弁及び大動脈弁を採取し、超高静水圧印加法によって脱細胞化した。同種ミニブタに、肺動脈弁は同所性に、大動脈弁は下行動脈位に移植した。所定期間経過後、超音波にて観察するとともに、摘出組織を免疫染色やSEM観察にて組織学的に評価した。その結果、両組織とも移植血管の破裂等は認めなかった。肺動脈弁では、移植3及び6ヶ月後での超音波観察で、弁の機能不全は認めなかった。内腔は完全に内皮化しており、組織内への細胞浸潤も顕著であった。また、石灰化も全く認めなかった。これに対し、大動脈弁では、移植1ヶ月後において、弁葉内には石灰化は認めなかったが、導管部には石灰化を認めた。また、3ヶ月後では、弁葉は縮退しており、導管部の石灰化も顕著であった。現在、石灰化の原因について検討を進めるとともに、霊長類を用いた異種移植実験についても準備中である。
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