「農」とふれあう人間行動に着目した新しい生活空間の形成に関する基礎的研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14390008
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 木谷 忍 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20169866)
• 研究分担者: 徳永 幸之 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (40180137) ; 川本 隆史 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40137758) ; 伊藤 房雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30221774) ; 長谷部 正 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10125635) ; 野村 希晶 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80125632)
• キーワード: 都市と農村の交流 / 地域の文脈 / 農村風景 / 環境教育 / ゲーミングシミュレーション / 環境倫理

研究概要

本年度は、前年度に行った環境教育の実態調査、農村風景調査による農村のイメージ調査、および専門家による研究会を通して得た環境倫理に関する知見をもとに、実際に地方中枢都市郊外における環境教育事例に焦点を当てたゲーミング・シミュレーション実験を行った。(仙台市郊外の学校ビオトープを核とした地域づくりをケーススタディとした。)同時に、農環境倫理研究会を2度開催し、農業の観点からの環境倫理学の枠組みについて検討した。また、海外(米国およびカナダ)における都市郊外型の農的資源利用の調査、および地球環境変動に対する人間杜会の在り方に関するシンポジウム(カナダ・モントリオール)での報告を行った。
仙台市郊外で実施した環境教育ゲーミングは、地方中枢都市圏で生活する大人世代が、郊外の豊かな地域環境の中で子ども世代と協働する地域環境学習のスタイルを探るものである。ここでは、大人の「気づき」が重要なポイントであり、子どもが自由に大人たちに訴えかけ、大人を説得しやすい仕組みを考案した。得られた知見として、学校ビオトープの環境教育を補完する形で、地域の自然環境において杜会教育の観点から地域住民が子どもの環境教育に参加すること、また子どもの自己確立に寄与する自然環境での「遊び」行動を考慮し、可能な限り地域の大人たちがそれを見守るよう努力すること、の必要性に関する「気づき」があった。
さらに、次年度の中心課題である地方中枢都市圏の農的資源を生かす形での都市農村交流モデルの提案について、今年度の環境教育に関する知見を生かすために、仙台都市圏にある自然環境豊かな伊豆沼地方の調査を12月より開始し、環境教育、食・農体験、文化・歴史探訪、スポーツ交流の観点から都市と農村の結び方の検討を始めた。

研究成果

• [文献書誌] S.Kitani, K.Arai, T.Hasebe: "A New Role-Playing Gaming on Regional Environmental Planning - A Framework and Trial Run -"Studies in Simulation & Gaming. Vol.13,No.2. 149-156 (2003)
• [文献書誌] 長谷部正, 木谷忍, 野村希晶: "物語としての農村風景とその評価"2003年度日本農業経済学会論文集. 75-78 (2003)
• [文献書誌] 木谷忍, 長谷部正: "都市郊外での地域環境づくりのための合意形成に関する実験的研究-責任ある環境倫理観の共有にむけて-"情報システムによるコンパクトシティの推進に関する中間報告, 千葉商科大学コンパクトシティプロジェクト. 106-118 (2003)
• [文献書誌] T.Hasebe, S.Kitani, N.Nomura: "Analysis on the value of Indonesian Sightseeing - Based on an investigation of tourist attractions to Indonesia -"JSPS-DGHE Core University Program in Applied Biosciences, Proceedings of 2nd Seminar. 359-373 (2003)
• [文献書誌] 久保田恒太, 徳永幸之, 宮本和明: "自治田によるモビリティ確保施策検討手順に関する研究"土木学会東北支部技術研究発表会. 466-467 (2004)
• [文献書誌] 川本隆史: "卓越・正義・租税-社会政策学の《編み直し》のために"社会政策学会誌. 第11号. 1-15 (2004)