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2002 年度 実績報告書

鳥類の歌の進化に見られる遺伝と文化の相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 14390011
研究機関千葉大学

研究代表者

岡ノ谷 一夫  千葉大学, 文学部, 助教授 (30211121)

キーワードコシジロキンバラ / ジュウシマツ / 遺伝 / 文化 / ボールドウィン果会福祉 / マイクロサテライトDNA / DNA指紋法 / 鳥の歌
研究概要

日本で飼い鳥として親しまれているジュウシマツは、東南アジアの野鳥コシジロキンパラを240年前に輸入し家禽化したものである。コシジロキンパラの求愛のさえずり(歌)は非常に単純であるが、ジュウシマツの歌は複雑な文法構造を持っており、有限状態文法で記述できる。われわれは、ジュウシマツの歌は、家禽化によって捕食圧がなくなり、メスの好みがストレートに反映された結果、複雑化したのであると仮定している。歌は生得的な制約にもとづき学習により成立する行動であるから、ジュウシマツとコシジロキンパラには、遺伝的な差異と文化的な差異があると考えられる。
平成14年度は、台湾におけるフィールドワークを行い、台湾のコシジロキンパラの地鳴きとさえずりを録音した。結果、地鳴きはジュウシマツと大差ないが、歌は単純であることがわかった。ある一地域におけるコシジロキンパラの歌は、ほとんど個体差が認められなかったが、個体によっては地鳴き成分を歌の最後に取り入れたものがあった。また、歌の複雑さで繁殖成功度が変化するかどうかを知るため、ジュウシマツとコシジロキンパラをそれぞれ20羽ずつ大ケージで飼育して自由に繁殖させた。DNA指紋法による親子判定を可能にするため、ジュウシマツとコシジロキンパラよりマイクロサテライトDNAを8つ分離したが、これだけでは親子判定は可能ではなかった。さらに、ジュウシマツとコシジロキンパラのヒナを入れ替え、学習可能性を探る実験を行っている。結果、コシジロキンパラはジュウシマツの音韻と文法を完全には学習できないようであることがわかった。
以上の結果をもとに、さらに脳で発現する遺伝子の差異等も含めた研究に発展させる予定である。こうした研究をとおして、行動における遺伝と文化の相互作用についての知見が深まることが期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Mizuta, T., Yamada, H., Lin, R-S., Yodogawa, Y., Okanoya, K.: "Sexing white-rumped munias in Taiwan, using morphology, DNA, and distance calls"Ornithological Science. (In Press). (2003)

  • [文献書誌] Yodogawa, Y., Nishiumi, I., Saito, D., Okanoya, K.: "Characterization of eight polymorphic microsatellite loci from Bengalese finch (Lonchura striata var. domestica)"Molecular Ecology Notes. (In Press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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