研究課題
基盤研究(B)
日本でペットとして親しまれているジュウシマツは、中国南部に生息する野鳥のコシジロキンパラを家禽化したものである。家禽化の歴史は240年ほどであるが、ジュウシマツとコシジロキンパラは外見が大きく異なるだけではなく、歌(さえずり)の音響構造・文法構造にも大きな違いがある。コシジロキンパラの歌は線形で単純だが、ジュウシマツの歌は有限状態文法で表現できる複雑さを持っている。コシジロキンパラが家禽化されることによって、野外における捕食等の淘汰圧が無くなり、そのためメスによる選択(性淘汰)が歌を複雑化させる要因になったとの仮説を立て、その結果生じたであろう遺伝と文化の相互作用をフィールドワークとラボワークにより解明することがこの研究の目的である。ジュウシマツの歌を制御する大脳の神経系の一部を破壊することで、ジュウシマッの複雑な歌をコシジロキンパラのような単純な歌に変えてしまうことができる。このことから、両亜種の歌制御系には遺伝的な差異があるはずだ。ジュウシマツとコシジロキンパラのヒナを入れ替えて育て、それぞれが他亜種の歌をどのくらい学習できるのかを検討した。結果、ジュウシマツはコシジロキンパラの歌を完全に学習したが、コシジロキンパラはジュウシマツの歌の急激な周波数変調や複雑な時系列パターンの学習に困難があった。すなわち歌学習における遺伝的な制約を発見したのである。歌学習の遺伝的制約に関連する遺伝子を同定するため、5000クローンのcDNAマイクロアレイを作成し、両亜種の脳における遺伝子発現の違いを検討した。そこで検出された候補遺伝子についてin-situ hybridization法により脳内分布を調べた。結果、NMDA受容体のサブタイプが大脳基底核において、PKCのサブタイプが大脳古外套において、分布の差異を示した。
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