研究概要 |
細胞周期G2からM期への移行に必須なユビキチンリガーゼAPCの基質認識活性化因子である出芽酵母Cdc20の温度感受性変異の復帰変異株の解析を切り口に、APCの活性化・不活性化、APCの基質認識、スピンドルチェックポイントコントロールなど、G2よりM期への移行における細胞周期制御を分子レベルで解明することを目的とした。ベノミル感受性cdc55変異株は当初、高温でM期への移行に必須なユビキチンリガーゼTom1の復帰変異として単離されたが、cdc20温度感受性変異の復帰変異でもあった。cdc55はホスファターゼ2AのBサブユニットである。このcdc55変異株はスピンドルチェックポイントコントロールに関与することを種々の実験から明らかにした。ベノミル存在下で、cdc55株のPds1,Clb5の分解はmad2株と同じようであったが、CIb2の分解は起こらなかった。また、DNAの再複製も起こらず、明らかにMad経路とは異なる経路のチェックポイントコントロールに働いていると考えられる。ホスファターゼ触媒サブユニットを大量発現することでベノミル感受性が抑圧されることから何らかの標的因子が脱リン酸化されることで、機能すると推測された。 また、我々はSUMO1化経路における標的因子とPIAS型SUMOライゲースを出芽酵母において初めて同定したが、2種のSUMOライゲースのin vivoとin vitro系での活性を比較することにより、ライゲース活性には、RING様ドメインが必須であり、C-末端領域などは、細胞内局在などに関与していることが分った。さらに、in vitro系ではSmt3がSmt3に修飾結合するポリ化現象が起こるが、Smt3の15番目のリジン残基に結合することが分った。
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