平成14年度は、住民が河川災害時にどのような行動を取るのか、その意思決定過程のプロトコルデータを収集し、プロトコルデータから状況の認識に用いた知識や推論の過程を事実推論ルールとして抽出し、状況認識から行動を決断する過程を行動ルールとして抽出するための事前言語データ解析法を開発した。具体的には、北海道豊平川流域住民を対象とした水害避難予備模擬実験を改善し、対象者24名の本実験を行った。そのため、まず、(1)降雨開始から河川氾濫までの状況変化に応じたシナリオを作成する。現在の所、大雨注意報発令、大雨警報発令、避難勧告発令、避難命令発令の順に事態が進行するシナリオを作成する予定。(2)降雨状況、水位状況に現実感を出すために豊平川流域の実画像の収集、(3)実画像をもとにした画像編集、(4)天気図、累積雨量図、水位グラフ、ハザードマップ等、意思決定に必要な情報を被験者の要求に応じて随時提供できる環境をパーソナルコンピュータ上で構築した。つづいて、対象者24名に対し、大雨注意報発令、大雨警報発令、避難勧告発令、避難命令発令の各段階事に、ビデオ情報提供し、ビデオで想定された状況の中でどのような避難行動をとるのか、またそのような避難行動を決定する過程で頭に浮かんだことを全て発話してもらい、発話データの記録を行った。プロトコルデータから、事実推論ルールと行動決定ルールの分析を行った。その手順は、以下の通りである。(1)使用されている様相表現を抽出し、分類し、様相表現に関する辞書を作成する。(2)様相表現に着目して事実命題と価値判断命題を抽出する。(3)各命題に使用されている動詞の分類を行い、事実推論ルールと行動決定ルールを抽出した。
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