研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き国内の第四紀哺乳類化石産地や遺跡の調査を行って,産出化石や遺物の採集と層序・年代・古環境に関するデータの収集を行うとともに,それらと関連する第四紀層の調査と新しい化石産地や遺跡発見のための探索などの研究活動を行った.調査地域は青森県から沖縄県までの広い範囲におよび,多くのデータが得られた.すでに収集されている哺乳類化石標本については分析を進め,岩手県アバクチ洞穴遺跡と風穴遺跡については,その年代分析も含めて成果を公表することができた.岡山県足見NT洞窟についても層序や年代を含めた発掘の成果と産出化石の研究を論文にまとめた.その他の地域の化石産地・遺跡のものについても,層序・遺物・化石・年代資料の分析を進めている.また研究代表者は国内各地の研究機関へ出張して,第四紀哺乳類化石標本と関連する現生哺乳類骨格標本の調査や関連するデータの収集を精力的に行ったほか,国内の諸研究機関で,日本列島の第四紀の古地理・古環境に関する情報やデータの収集を行った. 国外での研究活動としては,研究代表者が中国科学院古脊椎動物古人類研究所で,昨年度に引き続いて中国産第四紀哺乳類化石の研究を行ったが,日本の第四紀の動物相と関連のある安徽省人字洞産の哺乳類化石の一部の種類については,中国側研究者と共同で論文にまとめて出版することができた.また,研究分担者の一人は韓国へ出張し,現地の遺跡や研究機関を訪問して,考古学に関するデータ収集を行った.国外で収集した諸データは,来年度の研究に向けて目下分析中であり,海外共同研究者との共同研究も少しずつ成果を出せる段階まで達してきた.
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