研究課題
基盤研究(B)
イギリスにおいて、住宅分野における民営化政策を象徴したのが、公営住宅入居者への売却を促進する購入権政策)であった。これによって、イギリスは「持家国家」として安定化するかに見えた。しかし実際には、公営住宅ストックが減ったとは言え、かなりの部分は売れ残ったのである。売却の停滞が明確となった80年代中頃から、サッチャー政権は売却と併行して他の方策を模索し始めた。Business Expansion Schemeと銘打った供給促進策や定期借家権の導入などがそれである。本研究では、これらの政策によってある程度民間賃貸住宅の供給が増えたがそれほど顕著な成果は見られず、家賃の上昇に伴う補助金の増大等によって財政問題を引き起こした実体を明らかにした。同じ頃開始されたのだが、民間非営利組織Housing Association(以下HAと略記)への公営住宅移管政策であった。本研究では、このHAの歴史的な展開過程を跡づけるとともに、HAの支援策が採られる中で、1988年以降保守党政権下で約26万戸の公営住宅がHAに移管されていく実体について、ヒアリングとデータ分析によって解明した。このような動きの中で、1997年、労働党ブレア政権が誕生した。本研究は、労働党政権が、戸数の上で保守党政権以上にHAによる公営住宅移管を進めていること、そして、そのプロセスが、強力な政策的支援・誘導を背景にしながら、予算獲得に際しての競争原理の重視とともに、内容的には地域に対するアカウンタビリティー強化のための制度的改変や多様なコミュニティー再生活動とリンクするという新たな特徴を孕んでいることを見いだした。本研究は、こうした形態において、非営利組織を新たな主役とする官・民の役割分担の変化がドラスチックに進んでいるイギリスの姿を描き出す一方、これとの比較において日本の住宅供給の特質と課題を検討した。日本の住宅供給が、イギリスと対比されるその資本主義発展の後発性と急進性ゆえに、様々な住まい・街なみにかかわる問題点を顕在化させた点が包括的に検証されている。
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