研究概要 |
β-ラクタム剤に対する感受性を増大する新規の抗菌剤-感受性増強物質を,世界各国から採集した生薬から抽出した900種の複合成分を出発原料として,発見,特許化することを目的として研究を行い,以下の知見を得た 新規の抗菌剤-感受性増強物質の単離精製については,昨年度新たに見出した43種のうち,岩白菜の酢酸エチル画分に顕著なβ-ラクタム剤-感受性増強効果が認められたので,この画分について現在活性成分の単離精製を進めている.つぎに,アルキルガレートの構造活性相関についてであるが,抗菌活性については,MRSA, MSSAともにC9-C10で最も強い活性を示し,この鎖長が最適鎖長であることを示した.また,没食子酸関連化合物のアルキルエステル誘導体を用いた結果から,抗菌活性の発現には親水性基と疎水性基の両方の存在が必要であることを明らかとした.アイルスマー効果については,アルキルガレートとオキサシリンとの間でMRSAでは有意な相互作用が認められた.FICインデックスによる解析の結果,12.5μg/mlのアルキルガレート存在下ではそれぞれの抗菌作用が主として相加的に作用し(最適鎖長C8-C9),25,50μ9/mlではオキサシリンの抗菌作用を相乗的に高めることが明らかとなった(最適鎖長C5-C6).これに対して,MSSAでは有意な相互作用が認められなかった.さらに,アルキルガレートと抗生剤との併用効果は,β-ラクタム系抗生剤に特異的であり,アルキルガレートは典型的なアイルスマーであることが判明した.
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