研究概要 |
新規の抗菌剤-感受性増強薬のハイ・スループット・スクリーニング β-ラクタム剤に対する感受性を増大する新規の抗菌剤-感受性増強物質を,世界各国から採集した薬用植物から抽出した900種の複合成分を出発材料として発見し,特許化することを目的として研究を行い,以下の知見を得た.(1)単独で強力な抗菌効果を示したもの43種,強力なβ-ラクタム剤-感受性増強効果を示すもの43種を見出した.(2)強い効果を示した南米産植物タラのエタノール抽出物から,4種の化合物を単離精製し構造決定した.(3)うち1種はエチルガレートであった.そこで,種々のアルキルガレート構造類似体を用いて,抗菌活性およびβ-ラクタム剤-感受性増強効果についてSAR解析を行い,いずれの場合もアルキル鎖長との間に密接な相関を認めた.(4)さらに,岩白菜の酢酸エチル画分に顕著なβ-ラクタム剤-感受性増強効果が認められた.現在活性成分の単離精製が進行中である. 新規抗菌剤-感受性増強薬の作用機作の解明 新たに発見された抗菌剤-感受性増強薬の実用化,さらにはより優れた増強薬開発のために,作用機作を明らかにすることを目的として,フラボンの存在により発現量がDown-制御またはUp-制御されたクローンについて,解析を行った.その結果,Down-制御されたクローンには好気的エネルギー産生に関係しているタンパク質をコードする遺伝子が含まれ,Up-制御されたクローンには二成分系シグナルトランスダクション・システムをコードするvraS, vraR遺伝子が含まれていた.vraS, vraRについてさらにこの遺伝子をノックアウトした変異株を用いた解析の結果,これらの遺伝子が薬物のストレスに対する抵抗性に関与する遺伝子であることが示唆された.
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