研究課題/領域番号 |
14390047
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉川 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50230701)
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研究分担者 |
高橋 淑子 発生, 再生科学総合研究センター・創造的研究推進プログラム・(パターン形成研究チーム), チームリーダー (10183857)
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
石坂 重昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90159715)
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キーワード | ES細胞 / 肝細胞 / HNF3β |
研究概要 |
今日、ドナー肝の慢性的不足は肝移植治療の普及に大きな障害となっており、替わるべき新たな移植法が切望される。このような背景のもと、我々は、胚性幹細胞(Embryonic stem cell : ES細胞)から機能的に成熟した肝細胞を作ること、および、その効率的な方法の開発を目的として本研究をスタートした。初年度の目的は、まず、ES細胞から肝細胞が得られるかを検討することであった。まず、胚発生初期における自然発生プログラムがかなり保持されている胚様体形成法によるES細胞のin vitro分化を試みた。ES細胞をhanging dropにて5日間培養して胚様体を形成させた後に付着培養に移行した。付着培養後約3週目にはアルブミン産生細胞が確認され、肝細胞に特異性の高い種々の血清蛋白や代謝酵素のmRNA発現が認められた。また、indocyanin green (ICG)による生細胞染色は、種々の細胞系譜に分化した培養細胞から生きたまま「肝」細胞候補を識別するのに有用と考えられた。このように、ES細胞が「肝」細胞に分化することを明らかにすることができたが、そのようなICG染色陽性細胞あるい「肝」細胞は、全細胞のわずかにすぎなかった。そこで、効率的な「肝」細胞への分化誘導を目的に、肝臓の発生分化に深く関わる転写因子hepatocyte nuclear factor 3 beta (HNF3β)をES細胞に遺伝子導入した。HNF3β導入ES細胞では効率のよい「肝」細胞誘導ができつつある。また、本遺伝子導入細胞をspheroid状にて立体構築を維持して培養したところ、高いアルブミン産生能、尿素合成能、脂肪酸合成能を数ヶ月の長期にわたり維持することができた。
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