研究概要 |
本年度は、各人の研究分担に応じて個別的な研究活動を行った。杉島は、1999年から2002年にかけて日本で発生した毒物事件・白い粉事件などのデータ収集を行うかたわら、朝日大学法制研究所より『生物兵器テロの包括的研究』と題するモノグラフを刊行するための編集・執筆作業を行った。このモノグラフは、邦文と英文で刊行される予定であり、過去三年間実施した共同研究「生物兵器テロの包括的研究」の研究成果を踏まえて、最新の知見を取り入れたものにするよう心がけた。常石は、帝銀事件の捜査資料である甲斐手記を手がかりにして、旧日本軍の生物化学戦に関する活動や占領軍司令部の関わりについて検討作業を行い研究成果を刊行した(『謀略のクロスロード』)。つづいて、政府・自治体の危機管理体制に関するケーススタディとして、神奈川県寒川町で発見された旧日本軍の毒ガス処理問題を検討した(前記モノグラフに収録予定)。そして、2003年2月〜3月にかけて米国でバイオテロに関する関係者へのインタビューと資料収集活動を行った。また両名は、名城大学薬学部の飯田耕太郎講師の協力を得て、最新の薬学に関する知見や設備について調査を行うかたわら、Eric Croddy(モントレー国際問題研究所)が執筆した"Chemical and Biological Warfare --A Comprehensive Survey for the Concerned Citizen" (Copernicus Books,2002)の翻訳に共同で取り組んだ。翻訳書は校正作業中であり、来年度中にシュプリンガー・フェアラーク東京から刊行される予定である。
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