研究概要 |
杉島は、オウムのバイオテロを中心に資料の収集・分析作業を継続し、とくに、米国で80年代に発生したラジニーシ教団によるバイオテロとの比較検討を行い、その成果をMark Wheelis(UC Davis)ととも論文にとりまとめるとともに、オウムのバイオテロ関する項目を、Richard Pilch(モントレー国際問題研究所)らが編纂する『Dictionary of Bioterrorism』に執筆した。これと並行して、生物兵器禁止条約の国内履行法、爆弾テロ防止条約などを手がかりとして、バイオテロ防止にむけた法的とりくみの現状と課題、ならびに関連問題として、非国際武力紛争における生物化学兵器使用の国際法的規制問題について、研究成果を発表した。また、日本国内で発生した毒物事件については、この20年間に関するデータを目下とりまとめ中であり、整理でき次第、Web上で成果を公刊する予定である。 常石は、1940年の新京におけるペストの集団感染、1936年に浜松で発生した食中毒などの事例に着目し、当時生物兵器の開発を行っていた石井機関の医者たちが、いかなる意識の下にこれらの集団感染について調査・分析を行ったかを、軍医学校防疫研究報告などを通じて検討した。また、石井部隊の活動に関連したこれまでの研究成果を、国際シンポジウム「Going Too Far : Rationalizing Unethical Medical Research in Japan, Germany, and the United States」(ペンシルバニア大学)で報告するとともに、米国においてMichael J.Franzblau(カリフォルニア大医学部皮膚科教授)と、意見交換および今後の研究打ち合わせを行った。
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