研究課題/領域番号 |
14390053
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
水口 憲人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (60047371)
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研究分担者 |
中島 茂樹 立命館大学, 法学部, 教授 (10107360)
佐藤 春吉 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70247807)
山口 定 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40046991)
西川 長夫 立命館大学, 国際地域研究所, 教授 (00066622)
小関 素明 立命館大学, 文学部, 助教授 (40211825)
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キーワード | 公共性 / 市民社会 / 正義 / 公正 / ガバナンス / 公共政策 / アソシエーション / グローバリゼーション |
研究概要 |
本研究プロジェクトは、すでに2000年度から毎月一度の研究会を開催するなど準備的な研究活動を展開してきた経緯がある。科研費助成金をいただいてプロジェクト研究が発足した2002年度はほぼ月1回のペースで研究会を開催してきた。人文・社会科学の諸分野では、社会構造的な変化とかかわって、それぞれに「公共性」概念をキーワードとする研究や議論がわき起こってきているが、このような各研究領域で焦点化している「公共性」をめぐる新しい研究と議論の状況をできるだけ広く検討し、これをもとに複合的な視野から新しい公共性の可能性を探りつつ社会科学の総合的研究を提示することが目的である。この研究過程でわれわれが確認できたのは、現在の社会構造の転換の奥深さと、また「公共空間」を創造・再建しようとする内外の研究者たちの創意の豊かさであった。特に、福祉国家の再編をめぐる議論は一路後退ではなく、社会的排除を克服していく新たな形態での雇用と労働あるいは社会的活動全般の位置づけの再編をも含む柔軟な構想をうみだしていることが明らかになった。また、環境問題の深刻化のなかで、NGOやNPOといった諸市民団体の活動が隆盛となり、市民参加に支えられた環境や福祉のガバナンスの確立に向けての研究の発展、「公共性」概念の大胆な組み直しが提案されてきていることなども確認できた。そのなかでどの分野の実践的な展開も、社会哲学的な議論や法理論に関する議論を剌激し、「公正」や「正義」や「公共性」をめぐって新しい理論展開をうみだしてきていること、こうして、民主主義や市民社会概念があらたな内実を与えられつつあることなども明らかになった。本年度はこうした研究成果の第一段として、本学人文科学研究所の研究叢書第16輯として『新しい公共性-そのフロンティア』を編集刊行することができた。来年度は、これらの成果と知見をもとにさらに具体的な諸実践分野にも目を向けて、現在の「公共性」をめぐる論議の状況と到達点をあきらかにし、あわせて理論的・実践的な諸課題をさらに追究していきたい。
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