研究課題
広島・長崎の原爆被爆者の放射線量の見積り方式は、1987年に新しく原爆線量評価体系1986(DS86)に改訂された。このDS86の改訂作業は1980年頃より日米の共同研究で1980年より進められたが、DS86には未解決のまま残された問題があった。はじめ^<60>Coの測定データが特に広島で合わないことであったが、その後、^<152>Euのデータや^<36>Clのデータも広島で同様な系統的なずれのあることが明らかになってきた。それは近距離でデータがDS86より低く、遠距離でデータがDS86より10倍位まで大きいことであった。本研究では、新しい線量評価体系を構築するため被曝花崗岩中に誘導される^<36>Clの測定、同様に誘導される^<152>Euの測定精度の向上、被曝銅中に速中性子によって誘導される^<63>Niの測定などを行った。それらのデータはDS86の問題を解決するための日米合同ワーキンググループで議論し、その結果、爆発点の高さを20m引き上げ580mから600mにし、爆弾の出力を15ktから16ktに変更することにより近距離も問題は解決された。遠距離では^<152>Euと^<36>Clのデータは両方ともバックグランドの混入があることが分かりデータが下がった。これにより近距離も遠距離も計算と測定値が一致し解決した。また、この結果、原爆線量評価体系2002(DS02)としてまとめられ、日米の上級委員会で承認された。^<60>Coの遠距離の問題はデータが大きいままで解決していないものの、誘導放射能である^<152>Eu、^<36>Cl、^<63>Niの基本的な部分では解決し、信頼できる評価体系の構築が出来た。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (6件)
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