研究概要 |
1.穀物生産指標の開発と検証 これまでに、衛星データを使用することによってデータの不十分な海外の地域に対して適用可能な監視法の技術開発を念頭にし、中国・インドを対象として世界気象データと気象衛星NOAAデータを用いながら生育指標・積算植生指標・穀物生産指標CPIの予知の能力について検討を進めてきた。穀物生産指標CPIのモデリングの妥当性については、全天日射量や単位収量等のデータが十分に得られやすい国内を対象に評価を進めてきた。本研究では、Rasmussen(1998)によるモデリングを発展させ、これまでに開発してきた日射・有効気温・植生指標NDVIを組み入れたモデルを改良し、光合成に及ぼす温度影響関数と、出穂期前後に穀物生産量に及ぼす低温不稔・登熟遅延の低温側温度影響関数と高温障害を表す温度障害関数とを考慮に入れた穀物生産指標CPIをモデル化した。その際,不稔影響関数を生育から登熟までの光合成速度の積分とは独立として、穀物収量へ直接に影響するモデルに改良した。同時に任意地点へ適用可能な標準化を施し、CPI_U(Crop Production Index Unit)として表わした。推定対象地点は,埼玉県久喜市のほかに福島県郡山市・新潟県巻町・宮城県古川市・秋田県大潟村・同狩川町・岩手県雫石町・北海道の函館市・岩内町・新篠津村の9地点を加え計10地点とした。その結果,日射量・植生指標NDVI及び低温不稔・登熟遅延の低温側温度影響関数と高温障害を表す温度障害関数とを組み入れた光合成型の穀物生産指標CPI_Uモデルの開発を確認した。 2.中国への穀物生産指標の適用と水ストレスの導入 現在,静止気象衛星GMSの日射データを用いながら,中国の瀋陽・北京・済南・南京・上海・成都について穀物性生産指標CPI_Uを適用した。また,これまでの制御温室による水ストレスの反射率スペクトル観測値と水ストレス指標をもとに,島根県松江市斐川平野とタイ国メコン川・中国済南について,MODIS・ASTERによる水ストレスの抽出を進めている.
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