研究課題/領域番号 |
14390059
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
斉藤 幸子 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究グループ長 (30344138)
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研究分担者 |
小川 尚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20040181)
池田 稔 日本大学, 医学部, 助教授 (30130420)
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キーワード | 味覚 / 濃度 / ヒト / 非侵襲性脳イメージング / 味覚一次野 / 側性 / 鼓索神経 / 味覚中枢伝導路 |
研究概要 |
1.主観的味覚特性のうち、塩味の感覚的強度とヒトの大脳第一次味覚野の活動との関係について、データを再検討した。その結果、感覚的強度が増しても活動の潜時には違いがみられないことを再確認したが、濃度が0.03M、0.1M、0.3M、1Mと増大するに従って、第一次味覚野の活動量は増大したが、感覚的強度は0.3Mと1Mでは差がみられず、感覚的強度の対数関数のあてはまりは0.03Mから0.3Mの間だけであった。これらの解析を基に再投稿した。また、二つの国際学会のシンポジウムと国内の学会のシンポジウムや大学主催のシンポジウムでこの成果を発表した。また、うま味やNa-サッカリン等、塩味以外の主観的味覚特性とMEG計軌との関係について解析を行った。(産総研グループ) 2.熊本大学医学部附属病院中央放射線部のMRI装置を用いて、正常人について舌先および左右の舌縁刺激および味覚障害者の舌先刺激を行ないつつ味刺激で賦活される大脳皮質を調べた。正常人の舌縁刺激では必ずしも同側の大脳皮質味覚野に賦活が見られなかったし、味覚障害者(1人)では大脳に賦活を見い出すことができなかった。(熊本大グループと産総研グループ) 3.慢性中耳炎の手術の際に右鼓索神経を切断した6症例を対象に、触刺激の混入がない味覚刺激装置と時間分解能が高い脳磁場計測装置を用いて、左鼓索神経を刺激し、味覚一次野の側性について検討をおこなった。46セッション中、味覚一次野に推定されたのは36セッションであった(78.3%)。応答の頻度は、刺激と同側が34半球(54.8%)、応答の側性は、両側性が26セッション(72.2%)と片側性よりも多くみられた。両側性の26セッションにおいて、各大脳半球別に平均潜時を比較した結果、刺激と同側の方が早い傾向がみられたが有意差があるとは言えなかった。以上より、片側鼓索神経からの味覚情報は、両側の味覚一次野にほぼ同時に投射する可能性が高いものと推測された。(日大グループと産総研グループ)
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