研究課題
基盤研究(B)
音楽演奏時の脳機能をPETで観察するパラダイム設計の前段階として、受動的に音楽フレーズを拝聴した時のリズム、音色、音強、ピッチの4つの認知に関する機能局在をfMRIを使って決定するための刺激パラダイム設計とこれを行うフレーズ発生システムを作成した。10±1の音(ピアノ音)からなる1.5秒間の基本フレーズを合計12個作成し、それぞれに対して上記4つの要素が異なるフレーズを20作成した。与えられた要素の注意に基づいて異同判断させるパラダイムを、40名の音楽教師を対象として実施し、正答率が80%程度のフレーズを36組抽出した。一名の健常人に同様のパラダイムを提示しながらfMRI検査を実施し、上記4つの認知要素に対応する機能領域の同定を試みた。リズムと他の要素に注意している時において、運動野および注意に対応する領域が脳賦活されていないことを確認した。一方、PET検査中の頭部の動きをモニターし、これを補正するシステムを作成した。ファントム実験を行い、動作と精度(100ミリ秒の時間分解能および1mm以下の空間精度)を確認した。また健常人一名においてピアノ演奏中のPET検査を実施し、実際の音楽演奏中の頭部動も、問題なく補正できることを確認した。リズム音楽演奏中においては、被験者の頭部は2cm以上動いており、本体動補正システムの重要性が確認できた。またPET検査中に被験者が演奏できるピアノおよびその治具を製作した。また弾いた鍵盤とはランダムに異なるピッチ音が鳴るシステム(クレイジーピアノ)を製作した。感情に対応する機能領域の同定、および言語としての音楽活動を同定するためのパラダイム設計、および音大生を対象とした社会心理学的アンケート調査を行っている。