研究課題
平成14年度はタントリズムと祖霊崇拝との関係を、平成15年度はタントリズムとシャマニズムとの関係に焦点を当てた。平成16年度は過去2年間の研究態度を踏襲しながら、ヒマーラヤ地域における仏教タントリズムが採用したヨーガの行法に注目した。一方で、仏教タントリズムの最も重要なシンボル装置であるマンダラの歴史的形態の研究に関する基礎的資料を整理した。チベット密教の最も重要なマンダラ・コレクションはサキャ派のゴル寺で編纂された『タントラ部集成』に基づいたものであるが、これまでに2種類(ソナム版・ローケーシュ・チャンドラ版)が出版されていた。われわれは第3の版のフィルムを入手し、他の2種の版との相違を調べ、カトマンドゥの出版社Vajra Publicationから平成16年度中に成果刊行の一部として、出版予定である。『タントラ部集成』のマンダラ・コレクションは「三部作られた」といわれているが、今回入手したフィルムはローケーシュ・チャンドラの白描のオリジナルであると推定することができた。カトマンドゥ在住の仏教僧が描いたインドの後期仏教タントリズムのマンダラ集成『ニシュパンナヨーガーヴァリー』に含まれる26種のマンダラの白描を入手し、サンスクリットテキストと照合し、テキストと相違する点はその仏教僧と討議の末、訂正しマンダラ図集成を作成した。これも、カトマンドゥから17年度中に成果の一部として出版予定である。バリ島のバトゥワン地区の3つの寺(プラデサ、プラプサ、プラダラム)における祖霊崇拝とシャマニズムの要素を昨年に引き続き調査した。この成果は17年度末に報告書で発表したい。
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