研究課題/領域番号 |
14401004
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局・研究部, 研究員 (50260146)
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研究分担者 |
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
川床 睦夫 財団法人中近東文化センター, 学術局・研究部, 主任研究員 (00260141)
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キーワード | イスラーム・ガラス / ラーヤ遺跡 / 組成分析 / ラスター・ステイン装飾ガラス / カット装飾ガラス / ガラス交易 / フスタート / ゲニザ文書 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、シナイ半島ラーヤ遺跡発掘調査(隊長:川床睦夫)で出土したイスラーム・ガラスを中心に考古学的、分析化学的研究を進めた。 様式・編年研究では、ラスター・ステイン装飾ガラスに加え、とくに、本年度はカット装飾ガラスに着目し、高級ガラスと日常ガラスについて明らかとし、刻線装飾技法からホイール・カット装飾技法への経年変化、そして、装飾ガラスにおける装飾と化学組成の関連を明らかとした。また、カット装飾ガラスにおける様式および化学組成から10世紀におけるイスラーム圏内の大都市を中心に出土する高級カット装飾ガラスの遠距離交易に関する考察を行った。 化学分析に関しては、昨年度の研究結果得られた、原料の相違によるナトロン・ガラスと植物灰ガラスの分類をさらに細分する試みを行うとともに、現地で、ナトロンや植物灰の採集を行い、検証実験を行った。また、可搬型蛍光X線分析装置の有効性を高めるために、ICP(プラズマ発光分析)分析で得られた数値を基に、分析値の特性化を行う研究を進めた。 これらの成果は、オリエント学会、分析化学会、エジプト調査関連研究会などの諸学会・研究会で成果発表を行った。また、昨年度の主な研究対象としたラスター・ステイン装飾ガラスと化学組成の研究に関いては、9月にロンドンで開催された国際ガラス史学会において、真道と中井グループがそれぞれ発表を行った。 さらに、総括的研究として、イスラーム・ガラスに見られる、イスラーム的特質の解明、ガラスに描かれたキリスト教徒の図像解釈、『ゲニザ文書』に見られるカイロ・フスタート在住のユダヤ教徒ガラス職人の活動についても、資料収集、検証を行った。
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