研究課題/領域番号 |
14401006
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
福田 誠治 都留文科大学, 文学部, 教授 (30128631)
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研究分担者 |
袴田 邦子(水谷 邦子) 芦屋大学, 教育学部, 教授 (50148582)
岩崎 正吾 東京都立短期大学, 文化国際学科, 教授 (30203368)
遠藤 忠 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (10104118)
松永 裕二 西南学院大学, 文学部, 教授 (30128095)
関 啓子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20107155)
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キーワード | 英才教育 / 教育の質 / エリート教育 / エリート養成 / 特別学校 / 寄宿学校 / ロシアの子ども / 物理・数学学校 |
研究概要 |
昨年に引き続き、ロシアにおける英才教育の実態研究をモスクワ、サマーラ、ノボシビルスクにおいて調査・研究した。調査は、2003年9月前半に、様々な教育施設、文化施設を対象に行われた。具体的には、大統領令「ロシアの子ども」のなかの「英才教育」が発足(1996年)以来どのように展開しているのか、とりわけ実施上の問題点を探ることであった。今回は、伝統ある「物理・数学学校」と呼ばれる特別学校が今日どのように変貌しているのか、入学者選抜、授業の様子、研究テーマの高大連携などを探るため、モスクワとノボシビルスクを訪れた。また、州全体できわめて高い教育実践を行っているサマーラ州を訪れた。日本の教育研究の調査が現地に入ることは初めてのことである。サマーラ州では、全国統一テストを州独自に全員に課し、テスト対策も含めて個人の課外活動を週3時間公費で保障し、オリンピックと呼ばれる学力テスト網をめぐらし、また日常的には学術研究活動として学習にテーマ性を持たせて集団で探求し発表する教育が実施されていた。 特色ある学校に希望者を入学できるようにと、寄宿制の特別学校がサマーラやモスクワに造られていた。その授業の様子、親元から離れて学習する子どもたちの問題点と指導についても調査した。とりわけ、モスクワでは、高い授業料の私立学校が数多く生まれている。この点に関しては、昨年度の調査で詳しく調べた。今年度は、貧困層の子どもたちも学べる寄宿学校をサマーラの農村地帯を対象にした比較的新しい学校と、モスクワ市の子どもたちを対象にした開設したばかりの寄宿学校を訪ねた。 サマーラでは、2000年に英才教育の基本概念をめぐって国際会議が行われた。その後、原理研究がどのように進んでいるのかを行政機関と研究機関において調べることも、今回の調査の大きな目的であった。2000年の一定の合意の後、それぞれの地方が実践可能な様々な方法を独自に実施しつつあるようだ。 心理学研究者、特別学校の教師たちと、英才教育を実施する場合の問題点も討論した。子どもたちが受けるストレスや挫折感などへの対策は、今後も交流の中で追求したい。 なお、この研究成果は、比較教育学会で報告し「最終報告書別冊」として冊子にまとめる予定である。
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