本年度は、一昨年度ならびに昨年度の調査結果を踏まえ、そのデータ整理と分析を行った。すなわち、瀬川は海南島〓州・臨高地域の言語ならびに地方文化の分布状況概況を整理するとともに、〓州話話者の村落である〓州市木堂鎮来山村・梁屋村、三都鎮漾月村、中和鎮霊春村、軍話話者の居住地域である〓州市中和鎮市街、同鎮小高地村、臨高話話者の居住地域である臨高県城、同県新盈鎮および調楼鎮、客家話話者の村落である〓州市藍洋鎮藍洋村および同鎮南羅村等について、その言語、民俗文化に関する報告論文を執筆した。また塚田は、同じく一昨年度の現地調査に基づき、臨高県における民俗文化ならびに移住伝承についての分析を行い、報告論文を作成した。さらに、一昨年度、昨年度の現地調査に同行し、現地の文化社会についての調査協力と専門的知識の供与を受けた広東省民族研究所・馬建〓所長ならびに張淑苹研究員を日本に招聘し、海南島に関する文献資料調査を共同で実施するとともに、〓州人の社会習俗等に関する資料論文の執筆・提供を受けた。さらに、昨年度の現地調査時に協力を得たフランス高等社会科学院中国研究所のJoel Thoraval研究員を日本に招聘し、同じく共同の文献資料調査と学術的意見交換を行った。そして同氏からは〓州人の宗教儀礼に関する資料論文の執筆・提供を受けた。これらを総合して、代表者である瀬川は報告書をとりまとめた。なお、同報告書は次年度以降、公開用にリライトした上で、市販書として出版する予定となっている。
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