2002年度は、大きくわけて次の2つの調査を行った。 1)協同組合の実態についての統計的調査 ボホール州内の協同組合の経営実態を把握するために、ボホール州内の協同組合のうち25の協同組合を選び、質問表を用いた面接調査をその組合長や組合理事長に対して行った。また、可能な限り一般組合員に対するインタビューも行った。この調査は現在も継続中であり、質問表への回答の統計分析もこれから行う。 2)協同組合の実態についての民族誌的調査 この調査は、協同組合の活動の社会的背景と、特に協同組合が個々の農民世帯と市場とのあいだを仲介するにあたって果たす機能について明らかにしようとするもので、ボホール州ドゥビゴン町のカハヤグ協同組合を対象として、財務諸表の検討と村落内政治とのかかわりの検討を行ってきた。現在はさらにすすんで、協同組合と個々の組合員の世帯戦略との関係、特に生計の再生産戦略を明らかにすべく、世帯調査を実施しているところである。 現在はまだ、調査の結果をまとめる段階にはないが、以上の調査から明らかになってきたことは、信用活動を基礎にした農村開発には限界があること、協同組合の活動が公共財への人々のアクセスの仕方と密接に関連していることがあげられる。またあわせて、フィリピンの現在の協同組合開発の問題点(機能を多様化させ過ぎている点)も明らかになってきた。 以上の結果を踏まえ、統計分析と、世帯戦略の解明が今後の調査の課題となっている。
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