本研究の第二年度にあたる平成15年度は、当初、平成15年12月から約2カ月間の現地聞き取り調査を予定していた。しかし、本研究の調査対象地域であるコートディヴォワール共和国ダナネ県全域は、本邦外務省通達による同国内戦下での邦人退避勧告の渡航規制が解かれぬまま、同年11月にはコートディヴォワール国軍の一部兵士による騒擾事件も発生したため、直前にいたり渡航を延期し、これに代えて平成16年2月に主都アビジャンへの短期渡航調査(約2週間)を遂行するにとどめざるをえなかった。これら不測の情勢変化に対応するとともに、仏領西アフリカの旧領内全体から本研究の視座を充実させる意味から、ニジェール共和国の植民地史研究に従事する佐久間寛氏を急遽研究分担者にくわえ、同分担者は平成16年2月、同国ニアメ市を中心とした植民地史料研究の目的で短期現地調査を遂行した。コートディヴォワール共和国の政治情勢は、内戦の和平にむけた調停プロセスが遅々としながらも進行しており、次年度も当初の調査計画通り、コートディヴォワール共和国での現地聞き取り調査の再開を予定しつつ、同国政情の推移を見守る。 なお、現代アフリカ史をめぐる住民側の記憶という本研究のテーマにとり関連する文献を平成15年7月に訳出のうえ商業出版のうえ刊行した。また、平成14年度のセネガル渡航における成果は、おなじく商業出版の論文集所収の一論文として平成16年度前半に公表する予定である。
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