研究課題/領域番号 |
14401012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
和崎 春日 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (40230940)
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研究分担者 |
日野 舜也 東京外国語大学, 名誉教授 (20014467)
嶋田 義仁 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20170954)
阿久津 昌三 信州大学, 教育学部, 助教授 (30201883)
鈴木 裕之 国士舘大学, 法学部, 教授 (20276447)
田渕 六郎 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (20285076)
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キーワード | アフリカ / 都市社会 / 宗教 / 相互扶助 / 救済 / 王権 / 福祉 / ネットワーク |
研究概要 |
本年は、3年計画の本プロジェクトの最終年度にあたる。したがって、本年度は、過去2年間の西アフリカでの「都市社会における救済」の諸方法のあり方と比較し、東アフリカのスワヒリ文化における相互救済や都市における宗教機能をめぐって、調査・研究した。そうして、アフリカ全体に敷衍できるような、「現代アフリカ都市社会における宗教や救済」を一般モデルとして定立することを試みるべく、調査・研究をおこなった。 (1)東アフリカ調査(タンザニア) 具体的には、東アフリカのスワヒリ都市社会・スワヒリ宗教文化を対象に、代表者・和崎春日と分担者・嶋田義仁ならびに日野舜也の3名が、東アフリカ・タンザニアにてスワヒリ文化調査を実施した。和崎は、カメルーンのアフリカ伝統王権における救済との比較観点から、調査した。嶋田は、西アフリカのイスラーム王権における救済との比較観点から調査した。ここでは、特に、スワヒリ宗教文化研究を専門とする日野舜也教授が、タンザニアの海岸から最も遠い最内陸部の小都市・ウジジにおけるスワヒリ文化とイスラーム文化の救済機能について、調査し論を結んだ(別掲論文に結実)。イスラーム性の最も強いザンジバルにおける宗教機能についても調査しえた。 (2)総括研究会の開催 現代アフリカ社会における救済のあり方を、鈴木裕之によるアビジャン、コナクリ調査、阿久津昌三によるアクラ、クマシ調査、嶋田義仁によるレイーブーバ調査、日野舜也によるンガウンデレ、ウジジ調査、田渕六郎によるヤウンデ調査、阿部泰郎によるバムン王権、フルベ王権都市比較調査、和崎春日によるフンバン調査を、持ち寄り総括した。その結果、(i)王権の発達した社会vs(ii)王権の発達していない社会、(iii)イスラーム都市vs(iv)非イスラーム都市、(v)ヨーロッパ植民地拠点都市vs(vi)アフリカ伝統都市、(vii)首都vs(viii)地方都市、のどの類型における、宗教(キリスト教、イスラーム、伝統宗教)による救済、伝統による救済、国家システムによるフォーマルな救済、近代ボランティア型の救済、というあり方が組み合わせマトリックスとして、析出しうることが明らかになった。 (3)研究成果報告書の発刊 上記の分担者の他に、現地参加した大学院生の、神谷良法、後藤澄子、田中麻衣子、須田征志、現地院生のDJATOU Medardによるカメルーン研究論考もふくめて、充実した230頁の報告書を完成した。出版で世に問いたい。
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