研究概要 |
本年度は,研究計画の初年度として,(1)これまでに収集した資料の整理・分析をおこなうことによって今後の展望を図り,(2)研究会を開催して研究テーマに関する討議,研究連絡をおこない,(3)研究協力者として二人の大学院生を派遣し(現地参加・現地離隊),新しい角度からの研究テーマへの切り込みをおこなった。 (1)に関しては,アルバイトを雇用して,木村がこれまでに収録し未整理のままであった,現地における会話などの相互行為の画像および録音資料をコンピュータにデジタル形式で保存し,自由に分析できる体制を整えた。また,現地の人々の会話データの転記・翻訳作業を進め,会話の形式的・意味的特徴を明らかにすることを試みた。 (2)では,月に一度「コミュニケーションの自然誌」研究会を開催し,人類学・地域研究研究者のみならず,言語学,情報科学,行動科学等の研究者を交えた討議をおこなった。また2003年1月に富山において,ピグミー系狩猟採集民の研究者を集めて研究会を開催した。寺嶋は連合王国において,資料収集,研究連絡をおこなった。 (3)では,京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科の佐々木経司をカメルーンに,島隆一をブルキナファソへ派遣した。佐々木は,カメルーン北西部の仮面結社における儀礼的コミュニケーションの予備調査をおこない,島はブルキナファソのサポネ村において,現地の村人たちが設立したNGOによって運営される「コミュニティFM放送」という新しいコミュニケーション形態の発展状況についての調査をおこなった。
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