研究概要 |
本年度は研究計画の2年目として,(1)現地調査の続行,(2)研究会の開催,(3)資料の整理,(4)出版活動,などをおこなった。 (1)に関しては,木村(研究代表者)が2003年の12月から2004年の1月にかけてカメルーン東南部のバカ・ピグミーのフィールドに入り,バカの会話映像を撮影し,会話の転記作業を進めた。今回から,幼児と母親の相互行為に関する映像も重点的に収集するように努めた。研究分担者である北西功一は,2004年2月から3月にかけて,木村と同じフィールドに入り,バカと近隣の農耕民バクウェレの分配活動について調査をおこなった。また,京都大学理学部大学院の大石高典を研究協力者として同じフィールドに派遣し(木村が同行),バクウェレとバカの移動をめぐるコミュニケーションについての調査をすすめた。 (2)では,毎月一度の割で「コミュニケーションの自然誌」研究会を開催し,人類学だけではなく,認知科学,言語学,哲学等の研究者を交えて,現地調査で得られた資料に関する討議をおこなった。また,会話分析に関する研究会,ワークショップに積極的に参加した。 (3)では,未整理であった画像データ,音声データのデジタル化を進めるとともに,画像を交えた会話分析用のフリーソフトAnvilを導入し,これまでの会話データの見直しをおこなった。 (4)さらに今年度は,研究代表者のこれまでの研究成果の集大成である,著書「共在感覚」を出版することができた。この本には,本研究課題によって得た成果が数多く盛り込まれている。
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