研究課題/領域番号 |
14401018
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
久保 正敏 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (20026355)
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研究分担者 |
杉藤 重信 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (70206415)
松本 博之 奈良女子大学, 文学部, 教授 (70116979)
金田 章裕 京都大学, 文学部, 教授 (60093233)
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
鎌田 真弓 名古屋商科大学, 商学部, 助教授 (20259344)
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キーワード | 文化資源 / 資源の持続的開発 / 観光資源 / 文化表象と展示 / 民族誌 / 研究資源共有 / 先住民政策 / 文化行政 |
研究概要 |
本研究では、文化資源や環境資源の開発と利用を通して自文化・社会の発展を図るオーストラリア・アボリジニの活動の諸相を、行政や研究者など他セクターとのダイナミックな相互作用の中に位置づけて明らかにすることを第一の目的とすると同時に、日本の先住民社会との比較を通して、応用人類学的政策提言までを視野に入れている。 平成14年度は、文化資源の「要素」として、自然環境そのもの(a)、伝統食(b)、芸術や芸能(c)、を、資源開発の「目的」として、自文化への直接還元(1)、他文化へのアピールを通じた自文化への間接的還元(2)、を、それぞれ切り口とする調査を行った。具体的には、GIS(Geographical Information System)を活用した自然資源の有効利用と経済的再配分の動き((a)x(1)に相当)、アボリジニ・コミュニティ、行政、研究者が一体となった環境マネジメント・プロジェクトの動き((a)x(1)に相当)、アボリジニ伝統食の観光資源化と市場流通の実態((b)x(2)に相当)、文化観光の動き(((a)+(c))x((1)+(2))に相当)、博物館・美術館における先住民展示、およびそれに関わる遺骨や儀礼用具の返還運動((c)x((1)+(2))に相当)、などの調査を行った。 いずれの活動においても、アボリジニ・コミュニティ、研究者、行政、が三位一体となる動きが近年顕著であることが明らかになり、ここにオーストラリア先住民政策の先進性を見ることができる。他方では、この三位一体の動きが資源開発による利権と関わっているために、必ずやそれぞれのセクター内で既存権力と新興権力の間で軋礫を生み出すはずであり、その動きを把握することも今後の重要な調査項目となる。本研究では、これら調査データの電子化も合わせて行い、研究者間での研究資源共有に向けた準備も進めている。
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