研究課題/領域番号 |
14401019
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, 民族学研究部, 教授 (10183063)
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研究分担者 |
坂井 信三 南山大学, 人文学部, 教授 (00140012)
仲谷 英夫 香川大学, 工学部, 教授 (20180424)
中野 尚夫 島根大学, 生物資源学部, 教授 (20304256)
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キーワード | 西アフリカ / 古王国 / 国家の発生 / ガオ王国 / 考古学 / 物質文化 / 長距離交易 / 中世 |
研究概要 |
本年度は、本研究の最終年度でもあり、夏に研究会を開催して、本年度の研究計画と研究報告書についての打ち合わせをおこなった。 本年度は、竹沢と仲谷の二人が、西アフリカ、マリ共和国での現地調査をおこなった。ごれには、現地研究協力者であるマリ文化省文化財保護局の局長テレバ、トゴラと、同文化財保護課長ママドゥ・シセも参加し、マリ東部のガオ地区で、2003年11月下旬から2004年1月下旬まで約72日間考古学発掘調査に従事した。 これにより、西アフリカのサバンナ地帯で初めて、総石造りの建造物が出土した。規模については、20mX28mまで拡大して発掘をおこなったが、全容を解明するには程遠いほど巨大な建造物である。また時代的には、2年前におこなったガオ地区のサネ遺跡の土器との比較により、西暦7世紀から11世紀と推測されるこの建造物に用いられた石については、いまだ特定はできていないが、ガオ近郊には産出されないものであることは確実であり、遠方より運ばれたものであることは確実である。 ガオ地区は、中世のアラビア語文献によれば、ガーナ王国と並んで最初の黒人王国が成立した土地であり、今回の発見は、規模や材料、時代などの点から、西アフリカで発掘された最古の王宮の跡である可能性がきわめて高い。 今回の成果は、規模、材料、時期のいずれの点においても、これまで西アフリカで実施された考古学発掘の成果としては類を見ないものであり、これまで謎とされていた時代の西アフリカ史の解明に大きく貢献するはずである。また、社会組織の成層化という社会人類学の重要な課題に対しても、大きな貢献をなすものと考えられる。
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